金融庁の40代NISA口座538万1,768口座を総務省の40代人口と単純比較すると、約34.1%、およそ3人に1人に相当する水準である。
「40代でNISAをやっている人は、実際どのくらいいるのか」。
この疑問に答えるには、最初に一つだけ厳密にしておかなければならない。
金融庁は「40代のNISA利用率は34.1%」とは公表していない。
金融庁が2026年7月3日に公表した「NISA口座の利用状況調査(令和7年12月末時点)」で確認できるのは、40歳代のNISA口座数が538万1,768口座であるという事実だ。同調査はNISAを取り扱う全金融機関を対象としている。
一方、総務省統計局「人口推計 2026年7月報」による2026年2月1日時点の確定値では、40〜44歳が745万6,000人、45〜49歳が834万7,000人。40代の総人口は1,580万3,000人である。
538万1,768口座を1,580万3,000人で割ると、約34.1%になる。
したがって本記事では、「40代人口に対するNISA口座数の単純比較では約34.1%」と表現する。
数字は強く言い切ればよいわけではない。
品質管理の現場で測定条件を無視した数値が意味を持たないのと同じだ。金融データも「何を分母にした数字なのか」を外した瞬間、精密そうに見える誤解へ変わる。
この記事では、40代のNISA利用状況について、金融庁と総務省統計局の一次情報を軸に、口座数・NISA全体に占める割合・人口と比較した普及水準を分けて整理する。
40代のNISA利用率は最新データでどれくらい?
40代のNISA口座は2025年12月末時点で538万1,768口座。40代人口との単純比較では約34.1%で、3人に1人に相当する水準である。
金融庁が2026年7月3日に公表した「NISA口座の利用状況調査(令和7年12月末時点)」は、2026年8月時点で金融庁の利用状況調査ページに掲載されている最新の年末確報データである。金融庁は調査対象をNISA取扱全金融機関としている。
40代について押さえるべき数字は次の通りだ。
見方 40代の数字 数字が示す意味
40代のNISA口座数 538万1,768口座 金融庁が集計した40歳代の口座数
NISA口座全体に占める40代 約19.08% NISA口座全体の年代構成
40代人口との単純比較 約34.1% 筆者計算による普及水準の目安
40代人口 1,580万3,000人 40〜44歳と45〜49歳の合計
ここで最も大切なのは、538万1,768口座だけが金融庁の40代に関する直接的な口座数データであり、34.1%は二つの公的統計を組み合わせた筆者計算だということである。
総務省統計局の2026年7月報では、2026年2月1日時点の40〜44歳人口は745万6,000人、45〜49歳人口は834万7,000人とされている。合計すると1,580万3,000人になる。
計算すると、
538万1,768 ÷ 1,580万3,000 × 100 = 約34.1%
となる。
つまり、「40代でNISAを使う人は一部の投資好きだけなのか」という疑問に対しては、口座数と人口を比較する限り、すでにかなり広い層へ普及していると評価してよいだろう。
ただし「40代の34.1%が実際に投資している」とまで言い切るのは正確ではない。
NISA口座を持っていても、その年に必ず買付をしているとは限らないからだ。
さらに口座数は2025年12月末、人口は2026年2月1日時点と基準日も異なる。
だからこそ、約34.1%は「利用率の公式値」ではなく「人口に対する口座数の普及水準を見る概算」として扱うのが妥当である。
私はここを曖昧にしたくない。
金融記事で数字を扱うなら、派手な結論より測定条件を優先するべきだ。数字の見栄えより、何を意味している数字なのかを守る。それが信頼性の土台である。
「40代34.1%」と「40代19.08%」は何が違う?
34.1%と19.08%は、どちらも40代に関する数字だが、分母がまったく違う。
ここを混同すると、「結局40代の何%がNISAをやっているのか」が分からなくなる。
まず約34.1%。
これは、40代のNISA口座538万1,768口座を、40代人口1,580万3,000人で割った数字である。
分母は40代人口だ。
つまり、
「40代人口とNISA口座数を比べると、どの程度の規模になっているか」
を見るための概算である。
一方の19.08%は意味が違う。
40代NISA口座538万1,768口座を、NISA口座全体2,820万6,434口座で割った割合である。
分母はNISA口座全体だ。
したがって19.08%は、
「NISA口座を年代別に並べたとき、40代が全体の何%を占めているか」
を示している。
「40代の19%しかNISAを利用していない」という意味ではない。
この違いは極めて重要だ。
たとえば100人の会社で40人がある制度を使っている場合、「社員に占める利用者割合」は40%になる。
しかし、その制度の全国利用者1万人のうち、その会社の社員40人が占める割合は0.4%だ。
同じ40人を扱っていても、分母を変えれば割合の意味は完全に変わる。
NISAも同じである。
ネット上では「40代のNISA割合」という一つの言葉で複数の数字が並びやすい。
しかし、見るべき数字は最低でも次の三つに分けたほうがよい。
- 40代のNISA口座数:538万1,768口座
- NISA口座全体に占める40代の構成比:約19.08%
- 40代人口とNISA口座数を単純比較した割合:約34.1%
これなら混乱しない。
以前の記事では、個別調査で示された別の「割合」も並べていた。
しかし、対象者や分母が違う民間調査を最新の全国口座統計と同列に置けば、むしろ読者を迷わせる。
今回の記事では、金融庁の全国口座統計と総務省の全国人口統計に軸を絞る。
調査対象が違う数字を大量に並べることが「詳しい記事」なのではない。
比較条件をそろえ、本当に比較できる数字だけを残す。
私はそのほうが、はるかに実用的だと考える。

新NISA開始後、40代の口座数はどう増えた?
40代のNISA口座数は、新NISA開始前と比べて大きく増えている。
金融庁はNISAの利用状況調査を継続して公表しており、公式サイトでは2025年12月末、2025年6月末、2025年3月末、2024年各時点に加え、バックナンバーから過去の年代別データも確認できる。
新NISA開始前の2023年9月末時点では、40代のNISA口座数は約385万口座だった。
それが2025年12月末には538万1,768口座まで増えている。
単純比較では約153万口座の増加で、増加率は約40%になる。
ここで表現を間違えてはいけない。
「新NISAが原因で40代の口座が153万増えた」と断定することはできない。
統計から直接確認できるのは、「2024年1月の新NISA開始を挟み、40代のNISA口座数が大きく増えた」という時系列上の事実である。
制度改正以外にも、家計環境、投資への関心、金融機関の情報提供など複数の要因が利用動向へ影響する可能性がある。
原因と時系列を一緒にしてはいけない。
ただし、それを差し引いても40代のNISA口座数が短期間で大きく増えていること自体は見逃せない変化だ。
さらに2025年6月末から2025年12月末だけを見ても動きがある。
2025年6月末の40代NISA口座は515万9,182口座。
2025年12月末には538万1,768口座となったため、半年間で22万2,586口座、約4.3%増となる。
金融庁の利用状況調査ページでは、2025年6月末調査が2025年9月24日、2025年12月末調査が2026年7月3日に公表されている。
これは何を意味するのか。
私は、40代のNISAを見るうえでは「34.1%という一点の割合」以上に、口座数が500万を超えた後も増加が続いていることに注目すべきだと考えている。
利用者が少ない制度なら、初期の関心層が口座を開いたあと伸びが鈍ることもある。
しかし40代では500万口座を超えた段階でも増えている。
これは少なくとも、「40代でNISAを持つことが特殊な行動ではなくなっている」という判断を補強する材料になる。
ただし、口座が増えたことと、投資成果が良いことは別問題だ。
ここも一緒にしてはいけない。
今回の記事で確認しているのは制度の普及状況であり、40代の運用成績ではない。
数字の意味を一段ずつ分ける。
派手さはない。だが金融データでは、それが最も重要なのである。
40代538万口座は年代別に見ると多いのか?
40代はNISA口座全体の約19.08%を占め、年代別でも大きなボリュームゾーンである。
2025年12月末の金融庁データでは、NISA口座全体は2,820万6,434口座で、40代は538万1,768口座である。
40代の割合を計算すると約19.08%になる。
さらに40代と50代の口座数は非常に近い。
40代は538万口座超であり、50代も550万口座規模となっている。
ここから読み取れるのは、NISAが「若い世代だけの資産形成制度」でも「退職前後の世代だけの制度」でもないということである。
特に30代から50代という現役世代が厚い。
では、なぜ40代がこれほど大きな層になっているのか。
統計だけから理由を断定することはできない。
ただ、筆者として注目したいのは40代という年代とNISAの制度設計の相性である。
40代は20代より老後までの時間が短い一方、一般的には退職まで10年以上の時間を持つ人も多い。
「もう十分若くはない。しかし長期で考える時間がなくなったわけでもない」。
その中間地点にいる。
さらに2024年からのNISAでは非課税保有期間が無期限となり、年間投資枠はつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円、合計360万円。非課税保有限度額は総枠1,800万円で、うち成長投資枠は1,200万円までとなっている。金融庁も制度の仕組みを公式のNISA特設サイトで案内している。
旧制度より制度の自由度が高くなったことは事実だ。
ただし、「枠が大きくなったから40代口座が増えた」と因果関係まで断定するのは行き過ぎである。
ここでも確認できる事実と解釈を分けたい。
事実として言えるのは、40代は538万口座を超え、NISA全体の約5分の1を占める主要年代になっているということだ。
これは「40代から始める人は珍しいのか」と不安を持つ読者にとって、かなり明確な答えになる。
少なくとも利用実態だけを見れば、40代はNISAの周縁層ではない。
むしろ中心に近い。
40代で「3人に1人がNISA」と言い切ってよい?
「約3人に1人に相当する水準」と表現するのが適切であり、「40代の3人に1人が確実にNISAを利用している」と断定するべきではない。
理由は三つある。
第一に、金融庁の口座数と総務省統計局の人口統計は基準日が一致していない。
NISA口座数は2025年12月末時点。
一方、今回使った40代人口は2026年2月1日時点の確定値である。
第二に、「人」と「口座」を比較している。
金融庁が公表しているのは利用者数ではなくNISA口座数である。
したがって「538万人が投資している」と直接置き換えるのは避けるべきだ。
第三に、人口側は総人口である。
総務省統計局の2026年2月1日時点の統計では、日本人人口だけでなく外国人人口を含む総人口が掲載されている。総人口は1億2297万5千人、日本人人口は1億1907万8千人、外国人人口は389万6千人となっている。
40代人口1,580万3,000人も、この総人口ベースの5歳階級別人口を使っている。
さらに総務省統計局は、2026年2月1日時点の人口について2020年国勢調査を基準とする確定値として公表しつつ、2025年国勢調査の人口等基本集計公表後に更新予定であることも注記している。
ここまで考えると、
「40代のNISA利用率は34.1%です」
より、
「金融庁の40代NISA口座538万1,768口座を、総務省統計局の40代人口1,580万3,000人と単純比較すると約34.1%で、およそ3人に1人に相当する」
という表現のほうが正確である。
少し長い。
だが金融情報では、この長さを削ってはいけない場面がある。
検索結果では「3人に1人」と言い切ったほうが強いだろう。
しかし、強い言葉を作るために統計の条件を捨てるなら、本末転倒だ。
一次情報、計算結果、筆者の解釈を分ける。
これは品質管理でも金融記事でも同じだ。
測定結果に都合のいい名前を付けるのではなく、その数値がどこまで言えるのかを明確にする。
その姿勢こそ、数字を読む側にも必要なのである。

私見|40代NISA口座が約153万増えた事実をどう見る?
ここからは筆者としての考察である。
私が今回のデータで最も重要だと考えるのは、40代のNISA口座数が538万口座に達したことそのものより、そこへ至る増加の流れである。
2023年9月末には約385万口座。
2025年12月末には538万1,768口座。
約2年でおよそ153万口座増えた。
利用率記事では「現在何%か」だけに目を奪われやすい。
しかし一時点の割合だけでは、その数字が拡大途中なのか、頭打ちなのか分からない。
40代のNISAでは、2025年6月末から12月末にかけても515万9,182口座から538万1,768口座へ増加している。
私はこの「すでに500万口座を超えているのに、なお増えている」という点に意味があると考える。
たとえば工場で品質指標を見るときも、一回の測定値だけで工程を判断しない。
前月、半年前、前年と並べて初めて傾向が見える。
NISAも同じである。
2025年12月末の538万口座だけを切り取れば「多い」で終わる。
だが2023年からの推移を並べれば、40代のNISA口座保有が短期間で明確に広がってきたという動きまで見える。
そしてもう一つ重要なのが50代との距離だ。
40代と50代の口座数は大きく離れているわけではない。
つまり現在のNISAでは、「若いうちから始めた一部の人だけが使っている」という構図では説明できない。
40代から50代という働き盛りの年代そのものが、大きな利用者層になっている。
ここから私は二つのことを考える。
一つは、40代からNISAを検討すること自体を「遅すぎる」と捉える必要はないということだ。
実際に538万を超える40代の口座が存在している。
もう一つは、だからといって「みんなやっているから自分も始める」という判断も雑だということだ。
今回の記事は利用率の記事であり、投資方法の記事ではない。
それでも一点だけ線を引いておきたい。
NISAは投資で得られる利益を非課税にするための制度であって、元本を保証する制度ではない。金融庁もNISAの仕組みとともに、投資には元本割れなどのリスクがあることを前提に情報提供している。
「3人に1人相当だから安全」ではない。
利用者が増えた事実と、投資リスクは別である。
ここを混ぜてはいけない。
今回の統計から読み取るべきなのは、「NISAを使えば得をする」という話ではない。
40代にとってNISAを検討することが、すでに珍しい行動ではなくなっている。
私はそこまでが、この利用率データから安全に言える結論だと考える。
投資額、商品選び、資産配分はその次の問題だ。
周囲が何人利用しているかと、あなたがいくら投資できるかは別の数字である。
数字を知ったら、数字以上のことまで勝手に読み込まない。
それが投資情報に振り回されないための基本だ。
まとめ|40代のNISAは538万口座、人口比では約34.1%相当
40代のNISA利用状況について、金融庁が2026年7月3日に公表した「NISA口座の利用状況調査(令和7年12月末時点)」では、40歳代のNISA口座数は538万1,768口座である。調査対象はNISAを取り扱う全金融機関だ。
一方、総務省統計局「人口推計 2026年7月報」に掲載された2026年2月1日時点の確定値では、40〜44歳が745万6,000人、45〜49歳が834万7,000人。
合計すると、40代人口は1,580万3,000人となる。
538万1,768口座を1,580万3,000人で単純に割ると、約34.1%。
したがって、最も正確に表現するなら、
「40代のNISA口座数を40代人口と単純比較すると約34.1%で、およそ3人に1人に相当する水準」
となる。
ただし34.1%は金融庁が公表した公式利用率ではない。
金融庁の口座統計と総務省統計局の人口統計を組み合わせた筆者計算であり、基準日も完全には一致していない。
また、全NISA口座に占める40代の割合は約19.08%である。
この19.08%は「40代の19%しか利用していない」という意味ではない。
34.1%は40代人口を分母にした概算、19.08%はNISA口座全体を分母にした年代構成比。
分母が違う。
ここを混同しなければ、40代のNISAに関する数字は驚くほど分かりやすくなる。
さらに、新NISA開始前の2023年9月末には約385万口座だった40代のNISA口座は、2025年12月末に538万口座を超えた。
約153万口座増えており、2025年6月末から12月末の半年間でも22万口座以上増えている。
「新NISAだから増えた」と原因まで断定することはできない。
それでも、新NISA開始を挟んだ期間に40代の口座数が大きく増え、現在も大きな利用者層を形成していることは確認できる。
40代でNISAを使うことは、すでに珍しいとは言いにくい。
だが、利用者が多いことと、あなたが投資すべきことは同義ではない。
まず事実を知る。
次に数字の分母を確認する。
そのうえで自分の判断をする。
金融情報で最も危険なのは、数字を見ないことだけではない。
数字の意味を確認せず、都合よく解釈することだ。
538万口座、約34.1%、約19.08%。
数字だけ暗記する必要はない。
覚えておくべきなのは、「何を何で割った数字なのか」である。
よくある質問
40代のNISA利用率は何%ですか?
金融庁の2025年12月末時点の40代NISA口座は538万1,768口座である。総務省統計局の2026年2月1日時点の40代人口1,580万3,000人と単純比較すると、約34.1%、およそ3人に1人に相当する水準となる。
ただし、34.1%は金融庁が公式に公表した40代の利用率ではなく、異なる公的統計を組み合わせた概算である。
NISA口座全体のうち40代は何%ですか?
2025年12月末時点のNISA口座総数2,820万6,434口座に対し、40代は538万1,768口座で、約19.08%を占める。
これはNISA口座全体に占める40代の構成比であり、「40代人口の19.08%がNISAを利用している」という意味ではない。
40代でNISAをやっている人は多いですか?
40代のNISA口座は538万口座を超え、40代人口との単純比較では約34.1%に相当する。
さらに2023年9月末の約385万口座から2025年12月末には538万口座超まで増えているため、利用実態から見れば、40代でNISA口座を持つことはすでに珍しい行動とは言いにくい。
ただしNISA口座数の多さは投資の安全性を意味しない。利用するかどうかは制度の普及率とは切り離して判断する必要がある。
主な出典
金融庁「NISA口座の利用状況調査(令和7年12月末時点)」2026年7月3日公表。調査対象はNISA取扱全金融機関で、NISA口座数や買付額などを集計している。
金融庁「NISA特設ウェブサイト・利用状況調査」。2025年12月末、2025年6月末、2025年3月末、2024年各時点およびバックナンバーを掲載している。
総務省統計局「人口推計 2026年7月報」。2026年2月1日時点の確定値として、40〜44歳745万6,000人、45〜49歳834万7,000人などの5歳階級別人口を公表している。
本多鋭一
現役品質管理マネージャー兼ヘルスケアライター

