NISAで個別株と投資信託のどっちを選ぶか迷う初心者は、広く分散された投資信託を中心にし、企業分析を続けられる人だけ個別株を加えるのが現実的である。
2024年に始まった新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できる。大切なのは「どちらが儲かるか」ではなく、下落しても生活を壊さず、自分で管理を続けられる方法を選ぶことだ。
NISAは個別株と投資信託どっちを選ぶべき?
結論から言えば、長期の資産形成を仕組み化したい人は投資信託、自分で企業を調べ続けられる人は個別株も選択肢となる。
特に投資初心者や、本業・家庭で企業分析に多くの時間を使えない会社員なら、最初から個別株を資産形成の主役にする必要はない。
両者の違いを整理すると次のようになる。
判断項目 投資信託が向きやすい人 個別株が向きやすい人
投資目的 長期の資産形成を仕組み化したい 特定企業の成長や配当も狙いたい
分散 1本で幅広く分散したい 自分で銘柄を選び分散したい
分析時間 できるだけ管理を簡素化したい 決算や事業を継続して確認できる
固有リスク 特定企業の影響を抑えたい 企業ごとの値動きを受け入れられる
管理 定期的な確認を中心にしたい 保有後も企業分析を続けられる
ただし、「投資信託なら安全、個別株なら危険」と覚えるのは間違いである。
株式だけに投資する投資信託なら、市場全体の暴落時には大きく値下がりする。反対に個別株でも、多数の企業へ分散すれば一社集中よりリスクを抑えられる。
本質的な違いは、企業固有のリスクと銘柄選択の責任を、自分がどこまで引き受けるかにある。
広く分散された投資信託なら、一つの商品を通じて多数の企業へ投資できるため、特定企業1社の不振が資産全体へ与える影響を薄めやすい。
個別株は違う。企業の競争力低下、不祥事、減益、減配、新規事業の失敗などが、その銘柄の株価へ直接響く。
だから私は、「個別株と投資信託のどちらが上級か」で考えるべきではないと思っている。
自分が管理できないリスクまで抱え込まない。
これが最初の判断基準である。
松井証券のiDeCoは「手数料が安い」だけで決めていいのか。
40代なら先に見ておきたいポイントがある。続き・詳細はこちらの記事で確認できる。
新NISAでは個別株と投資信託をどう使い分ける?
新NISAでは、初心者ならつみたて投資枠を長期資産形成の土台とし、成長投資枠を投資信託の追加購入や個別株に使うと整理すると分かりやすい。
金融庁の「NISAの抜本的拡充・恒久化(2024年1月~)」では、18歳以上について、つみたて投資枠の年間投資枠は120万円、成長投資枠は240万円で、両方を併用できる。年間では合計360万円まで投資可能だ。非課税保有限度額は合計1,800万円、そのうち成長投資枠は1,200万円が上限となっている。
つまり、新NISAの基本構造は次の通りである。
- つみたて投資枠:年間120万円
- 成長投資枠:年間240万円
- 年間合計:最大360万円
- 非課税保有限度額:合計1,800万円
- うち成長投資枠:最大1,200万円
つみたて投資枠で購入できるのは、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託である。金融庁は「つみたて投資枠対象商品届出一覧」を公表しており、2026年8月31日にも一覧と対象商品の概要を更新している。
したがって、投資信託なら何でもつみたて投資枠で購入できるわけではない。
一方、成長投資枠では上場株式や投資信託などが対象となるため、NISAで個別株を直接保有したい人は基本的にこちらを利用する。
ただし成長投資枠も無条件にすべての商品が対象になるわけではない。金融庁資料では、整理・監理銘柄のほか、信託期間20年未満、毎月分配型、デリバティブ取引を用いた一定の投資信託などが除外対象として示されている。
ここで「成長投資枠」という名前に引っ張られてはいけない。
成長株だけを買うための制度ではない。
対象条件を満たせば上場株式や投資信託などを購入できるため、「値上がりしそうな銘柄を探さなければならない」と焦る必要はないのである。
そして年間360万円という数字について、さらに重要なことがある。
これは投資できる上限であって、投資すべき金額ではない。
教育費、住宅修繕、車の購入、転職など数年以内に必要になる資金まで、「NISA枠が余っている」という理由で投資へ回すべきではない。
税制優遇は家計を守るための道具である。制度を使い切るために家計の余力を失うなら、順序が逆だ。

個別株と投資信託のリスクは何が違う?
最大の違いは、企業固有リスクをどこまで抱えるかである。
個別株では、その企業の業績、財務状態、競争力、経営判断、業界環境などが運用結果へ直接影響する。
例えば業績が悪化し、株価が50%下落すれば、その銘柄に投じた資金は単純計算で半分になる。
一社へ金融資産の大半を集中させていれば、その一企業の問題が家計全体の資産形成まで揺さぶる。
一方、幅広い企業へ分散するインデックス型投資信託などでは、一企業が占める割合を小さくできる。そのため特定企業の失速による影響を相対的に抑えやすい。
ただし、分散投資とは「損をしない仕組み」ではない。
株式市場全体が20%下落すれば、広範囲へ分散された株式投資信託でも相応に値下がりする可能性がある。
分散が減らすのは値動きそのものではなく、特定企業や特定対象へ集中するリスクである。
この違いを理解しておかなければ、「投資信託だから安心」と誤解して、自分の許容範囲を超えた金額を投じかねない。
個別株の長期投資でも同じだ。
「長期投資だから売らない」という言葉だけでは、保有を続ける根拠にはならない。
事業環境は変わる。競争優位性が失われることもあれば、成長市場が成熟し、かつての高収益事業が価格競争へ突入することもある。
個別株で重要なのは、長く持つことではない。長く持つ根拠が残っていることである。
私は品質管理の現場で、一度合格した工程を永久に正常とは判断しない。条件が変われば、データを見て再評価する。
個別株も同じである。
購入価格を覚えているだけでは足りない。買った理由が現在も成立しているかを確認する必要がある。
NISAで個別株を買うなら何を確認すべき?
NISAで個別株を保有するなら、「配当利回りが高い」「株価が安く見える」といった一つの数字だけで決めてはいけない。
初心者でも最低限、次の5点は確認したい。
- 売上高と営業利益が数年単位でどう推移しているか
- 営業キャッシュフローを継続的に確保できているか
- 借入金など財務負担が急激に増えていないか
- 配当を出している場合、その水準を利益やキャッシュフローで維持できそうか
- なぜその企業を保有するのか、自分の言葉で説明できるか
PER、PBR、ROE、配当利回りなども判断材料にはなる。
しかし、一つの指標だけを見て結論を出すのは危険である。
PERが低い企業は割安かもしれないが、将来の業績悪化を市場が織り込んでいる可能性もある。
高配当利回りの銘柄も同じだ。配当が増えたのではなく、株価が急落した結果として利回りだけが高く見えていることもある。
数字は結論ではなく、次に何を調べるべきかを教える計器である。
個別株を持つ以上、「買った後の確認」まで含めて投資だと考えたい。
さらに、NISA特有の税制上の注意も見逃してはいけない。
金融庁のNISA資料では、NISA口座で生じた損失は、一般口座や特定口座の利益との損益通算ができず、損失の繰越控除もできないと説明されている。
例えば課税口座なら、一定の条件のもとで上場株式等の譲渡損失と利益を通算できる場面がある。しかしNISA内の損失は税務上「なかったもの」と扱われるため、その損失を他口座の利益と相殺できない。
ここは個別株をNISAで持つ際の重要なリスク管理ポイントである。
「利益が出れば非課税」というメリットだけを見て、値動きの大きい銘柄を安易にNISAへ入れるべきではない。
NISAは投資判断の失敗を救済する制度ではないからだ。
また、国内上場株式の配当についても注意が必要である。金融庁は、NISAで保有する上場株式やETF等の配当・分配金について非課税扱いを受けるには、証券会社の口座で受領する「株式数比例配分方式」を選択する必要があると案内している。
個別株を使うなら、銘柄だけでなく制度の細部まで確認する。
それが本当の意味での管理である。
初心者は投資信託と個別株を何%にすべき?
公的機関が示す「初心者の個別株は何%」という一律の正解はない。私見では、初めて個別株を組み合わせるなら、長期投資資金の10~20%程度以内から検討する方法はリスクを管理しやすい。
残り80~90%程度を幅広く分散された投資信託などのコア資産とし、個別株をサテライトとして扱う考え方である。
ただし、この10~20%は金融庁などが推奨する公式比率ではない。
年齢、収入、金融資産、家族構成、今後必要となる資金、他に保有する資産、そして下落への耐性によって適切な比率は変わる。
では、なぜ初心者に10~20%程度からの検討を提案するのか。
理由は「当たりそうだから」ではない。
失敗した場合の損失を資産全体で管理しやすいからである。
例えば投資資金1,000万円のうち20%に当たる200万円を個別株へ配分したとする。
その個別株部分が50%下落し、他の800万円が変動しなかったと単純化すれば、損失は100万円であり、投資資金全体では10%の下落となる。
一方、個別株比率を80%まで高め、800万円部分が50%下落すれば、損失は400万円。資産全体では40%の下落となる。
同じ「個別株が50%下落」でも、配分比率によって家計全体への打撃は4倍違うのである。
初心者が先に考えるべきなのは、「この株は何%上がるだろう」ではない。
「外したとき、自分の資産はいくら減るのか」である。
ここに資産配分の重要性がある。
銘柄選択が完璧でなくても、一銘柄の失敗が資産全体を致命的に傷つけない設計なら、投資を継続しながら修正できる。
逆に一銘柄へ大きく集中すれば、どれほど企業研究をしても予想外の事態一つで資産形成計画そのものが崩れる可能性がある。
だから初心者ほど、銘柄を当てる技術より先に、外しても立て直せる配分を作る技術を身につけたい。

投資信託側も無条件に選んではいけない。
少なくとも、どの国・地域・資産へ投資するのか、どの指数への連動を目指すのか、信託報酬などのコストはいくらか、分配方針はどうなっているかを目論見書などで確認したい。
一般社団法人投資信託協会が2026年3月27日に公表した「2025年 投資信託に関するアンケート調査」は、2025年9月に全国の20~79歳の男女約2万人を対象として実施された。調査では新NISA口座開設者が31.7%で、20代から40代の口座開設者では「つみたて投資枠」の利用が7割を超えたと報告されている。
もちろん、多くの人が利用している方法が自分にも最適とは限らない。
ただ、本業や家庭を抱える世代にとって、積立・分散を仕組み化し、投資管理に必要な時間を抑える価値は大きいと私は考える。
投資信託中心という選択は、知識不足から逃げることではない。
限られた時間をどこへ配分するかという、立派な資産管理の判断なのである。
iDeCoは長く付き合う制度だから、金融機関選びを「なんとなく」で済ませたくない。
松井証券も、手数料・商品ラインアップ・サポートを分けて見ると評価しやすくなる。
とくに40代は、運用できる残り期間まで含めて考えることが重要だ。
「自分に合うか」を判断する材料はこちらの記事にまとめている。
私見|NISAでは「利益」より先に失敗の大きさを決める
私がNISAで個別株と投資信託を使い分けるうえで最も重要だと考えるのは、利益の予想ではなく、失敗したときの最大影響を先に決めることである。
未来の株価を確実に当てる方法はない。
だから「上がりそうな銘柄」を探し続けるより、「この銘柄が半値になっても資産形成を続けられるか」を計算したほうが、再現性のあるリスク管理になる。
特にNISAでは損失を課税口座の利益と損益通算できない。これは、個別株で大きなリスクを取るほど意識したい制度上の特徴である。
税金が有利だからリスクを増やすのではない。
税制優遇のある口座だからこそ、長く保有できる根拠のある資産を慎重に置く。
私はこの順番のほうが合理的だと考えている。
投資初心者が最初から最高のポートフォリオを作る必要はない。
投資信託を土台にして始め、企業分析を続けられると判断したら個別株を少額で加える。その後、経験と家計状況に応じて比率を見直せばいい。
未来を当てることより、間違えても修正できる設計を作ること。
NISAを長期資産形成へ生かすなら、私はここを最も重視したい。
まとめ|NISA初心者は投資信託をコア、個別株は余力で考える
NISAで個別株と投資信託のどっちを選ぶか迷う初心者なら、広く分散された投資信託を資産形成のコアとし、個別株は分析を継続できる範囲で加えると整理しやすい。
2024年からのNISAでは、18歳以上の場合、つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円で併用でき、年間最大360万円。非課税保有限度額は合計1,800万円、そのうち成長投資枠は1,200万円である。
ただし、投資枠を使い切ること自体が目的ではない。
個別株を組み合わせるなら、公式な適正比率は存在しないが、初心者は長期投資資金の10~20%程度から検討し、仮に大きく下落しても資産全体への影響を許容できるか計算する方法がある。
投資信託なら、投資対象、分散範囲、連動指数、コスト、分配方針を確認する。
個別株なら、業績、キャッシュフロー、財務、配当の持続性、そして購入理由が現在も成立しているかを継続的に確認する。
答えは「個別株か投資信託か」という二者択一ではない。
初心者や多忙な会社員は投資信託を中心にする。企業分析を続ける余力と意思があるなら、失敗しても耐えられる範囲で個別株を加える。
これが最も管理しやすい使い分けである。
なお、本記事は特定の金融商品や銘柄の購入を推奨するものではない。金融庁や投資信託協会などの公開資料をもとに、一般的な制度と判断軸を整理したものである。制度や対象商品は変更される可能性があるため、実際に利用する際は最新の公表情報を確認してほしい。
よくある質問
NISAでは個別株と投資信託のどっちが初心者向き?
一般には、幅広い企業へ分散できる投資信託のほうが管理を簡素化しやすい。
特に本業が忙しく、企業の決算や財務情報を継続的に確認する時間を取りにくい人は、広く分散された投資信託を中心に検討しやすい。ただし投資信託も元本保証ではなく、価格は変動する。
新NISAで個別株と投資信託を両方買える?
買える。
つみたて投資枠では長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託が対象となり、成長投資枠では対象となる上場株式や投資信託などを購入できる。
そのため、投資信託をコアにしながら個別株を一部組み合わせる運用も可能である。
初心者はNISAの個別株を何%にすべき?
公的な一律の適正比率はない。
私見では、初めて個別株を組み合わせるなら長期投資資金の10~20%程度以内から検討し、個別株部分が50%下落した場合に資産全体が何%減るかを計算してから決める方法が管理しやすい。
重要なのは比率そのものではなく、想定外の下落が起きても生活や長期投資を続けられる範囲に収めることである。
本多鋭一
現役品質管理マネージャー兼ヘルスケアライター
iDeCoは長く付き合う制度だからこそ、金融機関選びを急ぐ必要はない。
松井証券にもメリットはあるが、誰にでも同じように向いているわけではない。
手数料はいくらか。どんな商品を選べるか。ポイントはどうなるか。
そして、40代から老後資金を積み立てる選択肢として使いやすいのか。
判断に必要なところだけを整理したので、松井証券を候補に入れているなら一度確認してほしい。
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