40代男性のスポーツ趣味は、運動量より「今の体力で始められ、生活に組み込めるか」で選ぶべきである。筋トレなどの運動系趣味も含め、無理なく続けやすい7つを厳選した。
厚生労働省は成人に「今よりも少しでも多く身体を動かす」ことを基本として、歩行相当の身体活動を1日60分以上、息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上、筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨している。重要なのは、数字を一気に達成することではない。現在地から身体活動を増やすことである。健康日本21アクション支援システム+1
なぜ40代男性にスポーツ趣味が必要なのか?
答えは、40代がまさに運動習慣を作りにくい「働き盛り世代」だからである。
スポーツ庁が2026年3月11日に公表した令和7年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」では、20歳以上で週1日以上運動・スポーツを行う割合は51.7%だった。男性全体では55.0%である。文部科学省
さらに40代に絞ると状況がより明確になる。
同調査で週1日以上スポーツを行う割合は、40代全体46.2%、40代男性50.9%、40代女性41.9%だった。40代男性は前年の51.6%から50.9%へ低下している。20代から50代の子育て・働き盛り世代は、他年代と比較して実施率が低い傾向にある。文部科学省
つまり「40代男性だからまだ動ける」という楽観論では済まない。
仕事で責任が増え、家庭にも時間を使い、気づけば座っている時間が長くなる。この生活構造の中で運動を後回しにすれば、「暇になったら始める」という日は簡単には来ないのである。
しかもスポーツ庁の第3期スポーツ基本計画では、成人の週1回以上のスポーツ実施率を70%程度にすることを目標としている。現在の実施率とは依然として差がある。文部科学省
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人について次の目安を示している。
- 歩行または同等以上の強度の身体活動を1日60分以上
- 1日約8,000歩以上に相当する身体活動
- 息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上
- 筋力トレーニングを週2〜3日
- 座りっぱなしの時間が長くなりすぎないようにする
ただし、ここを読み違えてはいけない。
同ガイドの大前提は、個人差を踏まえて強度や量を調整し、可能なものから始めることである。「8,000歩できないから意味がない」ではない。今3,000歩なら、まず3,500歩へ増やせばいい。健康日本21アクション支援システム
40代の運動に必要なのは根性論ではない。
身体を動かすことを、意志力が必要な健康ノルマから「またやりたい趣味」へ変えること。ここが勝負なのである。
40代男性のスポーツ趣味は何を基準に選ぶべきか?
40代男性なら、一人でできるか、開始費用、時間の確保、負荷の調整、楽しさの5点で見ると選びやすい。
医学的な優劣を示すランキングではない。施設や道具の必要性、一般的な実施方法などから、筆者が「忙しい40代が実際に始められるか」という観点で整理した。
スポーツ趣味 一人でできる 費用の目安 時間の自由度 負荷調整 特に向いている人
ウォーキング ◎ 低い ◎ ◎ 運動習慣がない人
水泳 ◎ 施設利用料など △ ◎ 走る運動を避けたい人
サイクリング ◎ 自転車などで幅がある ○ ○ 景色や移動を楽しみたい人
ジョギング ◎ 低い ◎ ○ 数字で成長を感じたい人
ゴルフ ○ 比較的高い △ ○ 技術習得を楽しみたい人
テニス・バドミントン △ 用具・施設代 △ △ ゲーム性を求める人
筋トレ ◎ 自重なら低い ◎ ◎ 時間を確保しにくい人
「負荷」は同じ競技でも速度、時間、技術、フォーム、既往歴などによって大きく変わる。そのため「ジョギングだから危険」「水泳だから安全」と一律には判断できない。
私が重視したのは、1回の運動効果ではなく年間で何回実行できそうかである。
例えば非常に好きなスポーツでも、施設まで片道40分かかり、毎回2時間必要なら平日は難しい。
逆にウォーキングや自宅筋トレは派手ではないが、10分、20分という隙間にも入れられる。この「実行までの摩擦」は趣味選びで無視できない。
では、7つを具体的に見ていこう。
40代男性におすすめのスポーツ趣味7選
1.ウォーキング|運動習慣ゼロから最も始めやすい
ウォーキングは、運動習慣がほとんどない40代男性に最も導入しやすい候補である。一人ででき、特別な施設を必要とせず、時間と距離も調整しやすい。
最大の強みは「開始までの条件が少ない」ことだ。
昼休みに15分歩く。駅まで遠回りする。休日に近所を30分歩く。こうした方法なら、運動のためにまとまった予定を一つ増やす必要がない。
厚生労働省も成人の身体活動の具体例として歩行を示し、現在の活動量が少ない人ほど「今より少しでも多く身体を動かす」ことを重視している。健康日本21アクション支援システム
弱点はゲーム性が低いことである。
「ただ歩くだけでは退屈」という人は、図書館、カフェ、公園など目的地を決めるといい。歩くこと自体を目的にする必要はない。
生活に溶け込ませやすさでは、ウォーキングは非常に強い。
2.水泳|自分のペースで運動量を調整したい人向け
水泳は、陸上で走ることに抵抗があり、自分のペースで全身を動かしたい人に向いている。
浮力のある水中では、陸上での運動と比べて体重による荷重を抑えながら動きやすい。ただし身体への適性には個人差があり、痛みがある場合まで無理に勧めるものではない。
泳ぎ続ける必要もない。
水中ウォーキングから始め、短い距離だけ泳ぐ。疲れれば再び歩く。このように運動量を調整できる。
一方で弱点は明確だ。
プールへ移動し、着替え、利用時間に合わせる必要がある。施設利用料も発生する。
したがって「水泳が身体に合うか」だけでなく、自宅や勤務先から通える場所にプールがあるかまで確認したい。
良い運動でも、行けなければ続かない。
3.サイクリング|運動と休日の楽しみを一体化できる
サイクリングは「運動のためだけに時間を使うのが苦手」という40代男性と相性がいい。
近所を走るだけでなく、「海まで行く」「知らない道を走る」「店まで自転車で行く」と目的を付けられるからだ。
つまり「30分運動する」ではなく、行きたい場所へ移動した結果、身体も動かせる。
一人で完結しやすく、距離を伸ばすほど趣味性も高まる。
ただし、自転車本体、ヘルメットなど必要な道具によって初期費用は大きく変わる。公道を走る以上、交通ルールの順守と安全確認も欠かせない。
初心者が避けたいのは、始める前から高価な道具をそろえすぎることである。
品質管理でも、設備を入れただけで良い工程になるわけではない。まず短距離を走り、「自分はこれを楽しめるのか」を確認してから投資すればいい。
4.ジョギング・ランニング|数字で上達を感じたい人向け
ジョギングは、ウォーキングでは物足りなくなり、距離や時間で成長を確認したい人に向いている。
時計やスマートフォンを使えば、距離、時間、ペースなどを記録できる。
最初は20分のうち半分しか走れなかった。それが少しずつ走れるようになる。この成長が可視化される点は趣味として強い。
ただし40代初心者に一つだけ強く言っておく。
20代の身体を記憶から呼び戻すな。
昔5kmを走れた。部活では毎日走っていた。その記憶と現在の筋力や持久力は別物である。
最初は歩きを混ぜてもいい。時間や距離を一気に増やす必要もない。
翌週も続けられる状態で終える。
追い込むことではなく、継続可能な負荷を探すことが先である。
5.ゴルフ|運動だけでなく技術上達を楽しみたい人向け
ゴルフは、ゲーム性、人付き合い、一人練習を組み合わせたい40代男性に向いている。
練習場なら一人で取り組める。ラウンドでは仲間と楽しめる。
そして飛距離だけではなく、方向性、アプローチ、パッティングなど、長期的に改善できる要素が多い。「うまくなりたい」という動機が残りやすいのが強みだ。
一方、費用と時間は7種の中でも高くなりやすい。
クラブ、練習場、ラウンド、交通費などが必要で、金額は利用方法や地域によって大きく異なる。料金やサービス内容は変わるため、利用前に各施設の最新情報を確認したい。
また「ゴルフをしている=十分な身体活動量を確保できている」とは限らない。
移動方法やラウンドの仕方によって身体活動量は変わるからだ。
最初から高額なクラブ一式を購入する必要もない。レンタルなどで試し、楽しめると分かってから道具へ投資する方が合理的である。
6.テニス・バドミントン|ゲーム性がないと飽きる人向け
テニスやバドミントンは、単調な運動が続かず、勝負や技術上達を楽しみたい男性に向いている。
ラリーが一回増える。
狙った場所へ打てる。
サーブが入る。
身体を動かすこと以外にも「上達」という報酬があるため、運動を義務として感じにくい。
弱点は一人で完結しづらいことである。
相手、スクール、サークル、コートなどの条件を確保しなければならない。その意味では、勤務時間が不規則な人にはウォーキングや筋トレよりハードルが高い。
また久しぶりにラケット競技へ戻る40代は、急な切り返しを最初から繰り返さない方がいい。
「ボールには届くはず」という感覚と、現在の身体が実際に動ける範囲が一致しているとは限らないからだ。
まずは勝敗より、現在の身体で無理なくプレーできる範囲を把握したい。
7.筋トレ|時間がない40代ほど使いやすい運動系趣味
筋トレは、まとまった時間を確保しにくい40代男性に特に取り入れやすい。
厳密には球技などの競技スポーツとは異なるが、「身体を動かす趣味」を探す検索意図を考え、本記事では候補に含めている。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人に筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨している。
しかも筋トレはジムのマシンや重いバーベルだけではない。腕立て伏せなど、自分の体重を利用する運動も含まれる。可能であれば有酸素性身体活動と組み合わせることも示されている。健康日本21アクション支援システム
だから私は、筋トレを単独で考えなくていいと思っている。
ウォーキング+自宅筋トレ。
サイクリング+筋トレ。
テニス+自宅筋トレ。
このように役割を分ければいい。
運動不足の40代男性は何から始めればいい?
ほとんど運動していないなら、ウォーキング+軽い筋トレから始める方法が現実的である。
理由は「この組み合わせが誰にとっても最高だから」ではない。
実行を邪魔する条件が少ないからだ。
プールなら施設へ行く必要がある。テニスなら相手が必要になる。ゴルフは時間や費用がかかる。
一方、ウォーキングは玄関を出れば始められ、自重筋トレなら自宅でもできる。
厚生労働省のガイドでも、目標量だけを示して終わってはいない。個人差を踏まえ、可能なものから取り組み、現在より少しでも多く身体を動かすよう示している。健康日本21アクション支援システム
例えば、最初は20分歩く。
慣れたら歩く時間を少し増やす。そのうえで週2日程度、自分に合った軽い筋トレを加えてみる。
そこで「もっと身体を動かしたい」と思えば、水泳、ランニング、サイクリング、ラケット競技などへ広げればいい。
最初から一生続ける趣味を決定する必要はない。
試す。合わなければ変える。
40代のスポーツ選びでは、この柔軟さを持った方が長続きする。
40代男性がスポーツを続けるにはどうすればいい?
私が勧めたいのは、「主運動+予備運動」の2本立てである。
主運動は純粋に好きなものを選ぶ。
ゴルフでも、水泳でも、テニスでも、サイクリングでもいい。
そして天候、仕事、相手の都合などで主運動ができなかった日に備えて、ウォーキングや自宅筋トレなどを予備運動にする。
例えば次のように考える。
- 主運動がゴルフなら、雨の日は30分歩く
- 主運動が水泳なら、プールへ行けない日は自宅筋トレをする
- 主運動がテニスなら、相手がいない日はウォーキングに切り替える
- 主運動がサイクリングなら、悪天候の日は室内で身体を動かす
ここで狙っているのは完璧な代替ではない。
「予定が崩れたから今週は運動ゼロ」を防ぐことである。
私は品質管理の現場で、再現性の低い仕組みを信用しない。
健康管理も同じだ。毎回強烈なやる気が必要な方法より、疲れている日でも実行できる逃げ道を最初から用意した方が強い。
これが「実行条件を設計する」という考え方である。
そしてもう一つ。
スポーツを選ぶときは「1回でどれだけ運動できるか」だけでなく、1年間で何回できそうかを考えてほしい。
週末に3時間運動して翌月まで何もしないより、20分の運動を何度も生活へ入れられる方が、自分にとって現実的な場合もある。
派手さより再現性である。
これは40代の仕事にも健康管理にも共通する。
40代からスポーツを始めるときの注意点は?
最も避けたいのは、若い頃の身体能力を現在の負荷設定に使うことである。
「昔は走れた」「学生時代はテニス部だった」という経験は、自信にはなる。
しかし現在の体力を測るデータにはならない。
厚生労働省は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」で、個人差を踏まえて強度や量を調整するよう求めている。また慢性疾患がある人については、無理のない強度・頻度から始めて徐々に増やし、身体活動によって悪化する可能性がある合併症や運動器の痛み・変形などがある場合には、事前に医師等の専門家へ相談するよう示している。健康日本21アクション支援システム
したがって、治療中の疾患がある人や、肩・腰・ひざなどに痛みがある人は、自己判断で追い込むべきではない。
健康のための趣味で日常生活へ支障を出しては本末転倒だ。
またデスクワーク中心の男性は、スポーツの時間だけを見ない方がいい。
厚生労働省は、成人に対して座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう注意することも推奨している。健康日本21アクション支援システム
休日にスポーツをする。
平日は階段を使う。
昼休みに少し歩く。
長時間座り続けない。
このように、スポーツと日常の身体活動を一週間単位で組み合わせる方が現実的である。
40代男性のスポーツ趣味は「楽しい」と「実行できる」の両方で決めよう
ここからは筆者としての考察である。
40代のスポーツ選びで、私は「消費カロリーが多い競技ほど優秀」という考え方には賛成しない。
どれほど運動量の多いスポーツでも、施設が遠く、相手が必要で、仕事との時間調整が難しく、月に1回しかできないなら、その人にとって最適とは限らない。
反対にウォーキングのような地味な方法でも、楽しみながら頻繁に続けられるなら有力である。
だから評価軸は二つでいい。
「またやりたいか」と「来週もできるか」。
片方だけでは弱い。
健康に良いと思っていても苦痛なら続かない。
楽しくても費用や時間が生活を圧迫するなら続かない。
40代は仕事も家庭も条件が複雑になる年代である。若い頃のように「時間ができたら行く」だけでは予定が消えていく。
だからこそ、自分の生活へ入るスポーツを選ぶべきなのだ。
そして、調べるだけで満足してはいけない。
シューズを何十足比較しても歩数は増えない。
自転車の記事を読み続けても脚は動かない。
筋トレ動画を保存しても筋力はつかない。
情報収集は必要だが、最後は身体を動かして初めて相性が分かる。
今日20分歩く。
プールを一度利用してみる。
練習場でクラブを借りてみる。
ラケット競技の体験に参加してみる。
小さく試し、続けたいものだけ残せばいい。
40代のスポーツ趣味に必要なのは、完璧な選択ではなく、実際に始められる選択である。
まとめ|40代男性のスポーツ趣味は続けられる7選から選ぼう
40代男性におすすめするスポーツ趣味は、ウォーキング、水泳、サイクリング、ジョギング・ランニング、ゴルフ、テニス・バドミントン、筋トレの7つである。
2026年3月公表のスポーツ庁「令和7年度 スポーツの実施状況等に関する世論調査」では、40代男性で週1日以上スポーツを行う割合は50.9%だった。働き盛りの40代にとって、運動時間の確保は決して簡単ではない。文部科学省
だからこそ、「一番運動量が多いもの」を探す必要はない。
一人でできるか。費用を負担できるか。生活時間へ入るか。そして何より、またやりたいと思えるか。
運動不足ならウォーキングからでもいい。
時間がないなら自宅筋トレでもいい。
景色を楽しみたいならサイクリング。数字で成長したいならジョギング。ゲーム性ならテニスやバドミントン、長く技術を磨きたいならゴルフという選択肢がある。
主運動を一つ決め、できない日の予備運動を一つ持つ。
まず一か月、その仕組みを回してみる。
「忙しい」は事実だろう。
しかし、その条件の中で実行できる方法を作るのが40代の戦い方である。
最も若い日は今日だ。調査で終わらせず、できる最小単位から身体を動かそう。
よくある質問
40代男性で運動不足なら最初は何がおすすめ?
ウォーキングと自分の体力に合わせた軽い筋トレは始めやすい組み合わせである。
厚生労働省は「今よりも少しでも多く身体を動かす」ことを基本とし、成人には筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨している。ただし最初から推奨量を完璧に達成する必要はなく、現在の体力に合わせて調整したい。健康日本21アクション支援システム+1
40代からゴルフやテニスを始めても遅くない?
年齢だけを理由に諦める必要はない。
ただし運動習慣がない場合、若い頃と同じ強度で始めないことが重要である。現在の体力に合わせて負荷を調整し、運動で悪化する可能性がある痛みや疾患がある場合は、必要に応じて医師等の専門家へ相談したい。健康日本21アクション支援システム
40代男性がスポーツ趣味を続けるコツは?
「主運動+予備運動」を決めておく方法を勧めたい。
週末はゴルフ、雨ならウォーキング。水泳へ行けなければ自宅で筋トレというように、予定変更がそのまま「運動ゼロ」にならない仕組みを作る。1回の完璧さより、生活の中で繰り返せることを優先すべきである。
本多鋭一(ほんだえいいち)
現役品質管理マネージャー兼ヘルスケアライター

