40代夫婦のお風呂は、一緒か別々かだけで夫婦仲を判断できない。20〜60代の既婚男女200人を対象にした調査では34%が現在も一緒に入浴していたが、40代限定の割合ではない。
「40代になっても夫婦で一緒にお風呂に入るのは普通なのか」「最近は別々だが、夫婦仲が冷めた証拠なのだろうか」。
そんな疑問への答えは、一緒に入るかどうかだけでは判断できない、である。
バスリエ株式会社が2021年9月〜10月に全国の20〜60代の既婚男女200人を対象に実施し、同年11月19日に公表した「夫婦のバスタイム」に関する調査では、現在も夫婦で一緒にお風呂へ入っている人は34%だった。
一方、37%は「以前は一緒に入っていた」と回答している。
まず、この記事で最も重要な注意点を明確にしておく。
34%も37%も「40代夫婦だけ」の数字ではない。20〜60代を含む調査対象者全体の結果である。
したがって、「40代夫婦の34%が一緒に入浴している」と読み替えることはできない。
この記事では、この調査を「40代夫婦が自分たちの入浴スタイルを考える際の参考材料」として読み解いていく。
調査概要は次のとおりである。
- 調査実施:2021年9月〜10月
- 公表日:2021年11月19日
- 調査主体:バスリエ株式会社
- 対象:全国の20〜60代の既婚男女
- 全体の回答者数:200人
- 現在も夫婦で一緒に入浴:34%
- 以前は一緒に入浴:37%
なお、以下で紹介する「入浴頻度」「再び一緒に入りたいか」「入浴中に何をするか」などには、全回答者200人ではなく、該当する回答者だけを対象にした設問が含まれる。
そのため、各割合をすべて「200人中の割合」として扱わないことも大切である。
私は品質管理の現場で数字を見る際、割合だけでなく「誰を対象に、どの条件で集計した数字か」を確認する。
夫婦のお風呂事情も同じだ。数字の派手さに引っ張られず、母集団と設問対象を分けて読むことが欠かせない。
夫婦で一緒にお風呂へ入る割合は?20〜60代全体では34%
バスリエの調査では、全国の20〜60代の既婚男女200人のうち、現在も夫婦で一緒にお風呂へ入っている人は34%だった。
さらに37%が「以前は一緒に入っていた」と回答している。
この結果から分かるのは、調査対象全体の中に「今も一緒に入る人」と「以前は一緒だったが現在は違う人」の両方が一定数いたという事実である。
ただし、37%という結果だけから「夫婦は普通、途中で別々になる」と一般化することはできない。
まして「40代になると別々になる」とも言えない。
今回の元調査は、40代だけを切り出した統計として紹介されているわけではないからだ。
一方で、40代の読者が自分たちの状況を考える材料にはなる。
結婚当初と現在で入浴スタイルが変わったとしても、それだけを見て「自分たちだけがおかしい」と結論づける必要はない。
見るべきなのは、変化そのものより変わった理由と、現在の二人がどう感じているかである。
調査では、一緒に入浴している夫婦の頻度について、該当回答者の約7割が「月1〜2回以上」、約2割が「ほぼ毎日」と回答している。
つまり、「一緒にお風呂へ入る夫婦=毎日一緒」というわけでもない。
月に数回という形もある。
この事実は重要である。
「夫婦なら毎日一緒に入るべきだ」
「別々になった時点で夫婦仲が悪い」
そんな極端な二択で考える根拠は、この調査からは読み取れない。
40代では仕事、家事、育児、就寝時間など生活条件が若い頃から変わる家庭もあるだろう。
これは今回の調査が40代について証明した事実ではなく、あくまで筆者として想定できる生活上の背景である。
だからこそ、私は「一緒に入る回数」を夫婦関係の点数に置き換える考え方には賛成しない。
大切なのは頻度の多さではなく、今の生活の中で無理が生じていないかである。
なぜ夫婦は一緒にお風呂へ入らなくなる?「不仲」とは限らない
バスリエの調査では、婚姻年数別に見ると結婚3年目を境に一緒に入浴する割合が大きく減っていたと報告されている。
ここだけを切り取れば、「結婚3年で愛情が冷めるのか」と考えたくなるかもしれない。
しかし、その解釈は飛躍である。
この調査で確認できるのは、婚姻年数と入浴状況に一定の変化が見られたということまでだ。
「なぜ減ったのか」「愛情が低下したからなのか」という因果関係までは証明されていない。
さらに、以前は一緒に入っていたものの現在は別々という回答者に「また一緒に入りたいか」と尋ねた設問では、男女とも約7割が「いいえ」と回答している。
その理由には「1人でゆっくりしたい」「浴槽が狭い」といった回答が挙げられていた。
ここから見えるのは、「一緒に入らない」という現象に、必ずしも夫婦仲だけが関係しているわけではないということだ。
浴槽が狭いなら設備の問題である。
一人でゆっくりしたいなら休息の問題かもしれない。
帰宅や就寝時間が違えば生活リズムの問題も考えられる。
もちろん、実際の理由は夫婦ごとに違う。
だから相手の本音を確かめずに、
「最近、一緒に入ってくれない」
↓
「自分と過ごしたくないのだ」
↓
「夫婦仲が冷めた」
と一気に結論づけるべきではない。
品質管理でも、目の前に現れた現象と、その原因は分けて確認する。
「一緒に入らなくなった」は現象であり、「愛情がなくなった」は原因についての推測にすぎない。
ここを混同すると、本当は疲れているだけなのに余計な衝突を起こすことになる。
「今日は一人で入りたい?」
「時間が合わないだけ?」
必要なら、まずその程度の確認をすればよい。
夫婦だからといって、相手の考えを説明なしで正確に読めるわけではない。

一緒にお風呂へ入るメリットは?約7割が「おしゃべり」
夫婦で一緒にお風呂へ入る価値を考えるうえで注目したいのが、入浴中の行動である。
バスリエ調査では、一緒に入浴する人を対象に「一緒にお風呂で何をしているか」と尋ねた設問で、約7割が「おしゃべり」と回答している。
ここで重要なのは、お風呂そのものに夫婦仲を改善する特別な力があると考えないことだ。
むしろ注目すべきは、浴室が「二人だけで話す時間」を作りやすい場所になっている点である。
40代の家庭では、同じ家に住んでいても会話だけに集中する時間が十分とは限らない。
夕食中は家族全体の話になる。
食後には家事がある。
スマートフォンや仕事の連絡に意識を奪われる日もある。
これは今回の調査が40代の生活実態として示したデータではなく、筆者の一般的な考察である。
そのうえで考えると、浴室にはスマートフォンや家事から一時的に離れやすいという特徴がある。
元調査では、一緒に入浴する夫婦について入浴時間は10分以内という回答が多かったとされている。
長時間でなくていい。
10分でも、
「今日はどうだった?」
「最近忙しそうだな」
「週末どうする?」
と話せれば、一日の中に小さな接点が生まれる。
私は、お風呂を「夫婦仲を良くする方法」と単純化するより、会話が起きやすい環境の一つと捉えるほうが正確だと考える。
一緒に入らなくても、同じ役割を別の場所で作ればよいからだ。
一緒に入りたい場面は男女で同じとは限らない
「どのようなときに夫婦で一緒にお風呂へ入りたいと思うか」という設問では、男性は「相手を愛おしく感じたとき」と「旅行や温泉に行ったとき」が同率1位だった。
女性では「旅行や温泉に行ったとき」が1位となり、「わからない」「癒されたいとき」といった回答も見られた。
この結果も、20〜60代を対象とした今回のアンケート内での傾向であり、すべての男性・女性に当てはまるものではない。
回答者数200人の調査であり、男女別、条件別に分ければ各設問の対象人数はさらに小さくなる可能性がある。
したがって「男性はこう、女性はこう」と決めつける材料にはできない。
ただし、夫婦でも「一緒に入りたい理由が一致するとは限らない」という視点は持っておいて損はない。
自分は会話したい。
相手は今日は静かに休みたい。
その違いは、直ちに愛情の差を意味しない。
何年連れ添っていても、相手の希望を確認する作業は必要である。
「今日、一緒に入る?」
その一言で済む話を、「夫婦なら言わなくても分かるはず」と複雑にしてはいけない。
一緒に入る夫婦ほど円満?80点以上が約8割という結果をどう読むか
バスリエ調査では、夫婦関係の円満度についても興味深い差が示されている。
現在一緒にお風呂へ入っている回答者では、約8割が夫婦の円満度を80点以上と自己評価していた。
一方、一緒に入っていない回答者では、円満度80点以上と回答した割合は36%だったとされている。
数字だけを見れば、大きな差である。
しかし、ここから「夫婦で一緒にお風呂へ入れば円満になれる」と結論づけることはできない。
この調査で確認できるのは、一緒に入浴していることと、高い円満度の自己評価が同時に見られたという関連までである。
原因と結果の向きは分からない。
考えられる可能性は複数ある。
関係が良好だから自然に一緒に入浴しているのかもしれない。
一緒に入浴して会話する習慣が、関係維持の一助になっている可能性もある。
あるいは、その両方が影響しているかもしれない。
今回のアンケートだけでは切り分けられない。
ここは健康情報や生活調査を読むときにも極めて大切なポイントである。
「Aをしている人にBが多い」と「AをすればBになる」は別物だ。
相関を因果に変換してしまうと、数字は簡単に誤情報になる。
だから「最近夫婦仲が悪い。今日から毎日一緒に風呂へ入ろう」と形式だけ変更するのは順番が違う。
先に確認したいのは、
- 二人の会話時間が極端に減っていないか
- どちらかだけに家事や負担が偏っていないか
- 一人で休みたい気持ちを尊重できているか
- 生活リズムの違いを無理に合わせようとしていないか
といった、日々の関係そのものである。
これらは元調査の結論ではなく、調査結果を踏まえた筆者の考察である。
一緒にお風呂へ入ることは、良好な関係の一つの表れかもしれない。
だが、関係の良し悪しを判定する唯一の指標ではない。
40代夫婦のお風呂はどう決める?「共有・休息・代替」で考える
ここからは、調査結果を40代の生活にどう落とし込むかについての私見である。
私は夫婦のお風呂を、「共有」「休息」「代替」の3つで考えると整理しやすいと思っている。
共有したい日は一緒に入る
二人とも一緒に入りたいなら、入ればいい。
調査では、一緒に入浴する回答者の約7割が「おしゃべり」をしていた。
毎日でなくても構わない。
調査でも「ほぼ毎日」は約2割で、一緒に入る頻度は夫婦によって異なっている。
月に数回でも、休日だけでも、その二人に合っているなら成立する。
大切なのは「夫婦だから一緒に入らなければならない」という義務にしないことである。
休息したい日は一人で入る
元調査では、以前一緒に入っていたものの再び一緒に入りたいとは思わない回答者の理由として、「1人でゆっくりしたい」が挙げられていた。
一人で入りたいという希望を、直ちに拒絶と受け取る必要はない。
仕事や家庭で人に合わせ続けた日の入浴時間を、静かな休息に使いたい人もいるだろう。
これは私の解釈だが、相手が求めている休息を尊重することも、関係を運用するうえでは重要だと考える。
「今日はゆっくり入って」
と言える余裕のほうが、無理に同じ時間を過ごすことより価値を持つ場面もある。
別々なら会話を別の場所で代替する
一緒に入らないなら、「夫婦の時間がなくなる」と決まったわけではない。
調査で一緒に入る夫婦の約7割が「おしゃべり」をしているのなら、注目すべきは浴槽ではなく、そこで生まれている会話の時間である。
お風呂で作れないなら、別の場所で作ればいい。
- 入浴後に10分だけ飲み物を飲みながら話す
- 食後に短く散歩する
- 休日の朝に二人でコーヒーを飲む
- 就寝前にスマートフォンを置いて話す
ここが、私が40代夫婦のお風呂事情を考える際に最も重視したい視点である。
一緒か別々かの二択ではなく、共有したい日は共有し、休息したい日は一人になり、会話が不足するなら別の方法で補う。
お風呂を夫婦仲の採点表にする必要はない。
必要なのは、その日の状態に合わせて方法を選べることだ。

一緒に入る人の57%は入浴剤を使用
調査では、一緒に入浴する回答者を対象とした設問で、57%が入浴剤を使うと回答している。
泡風呂タイプを使う人は6%、にごり湯系を使う人は2割以上だったとされている。
この結果からは、一緒に過ごすバスタイムを単なる洗浄の時間ではなく、くつろぎの時間として楽しんでいる人がいることもうかがえる。
ただし、当然ながら入浴剤そのものが夫婦円満を生むと示された調査ではない。
道具を増やす前に、相手が何を求めているのかを見るべきである。
二人で楽しみたいなら使えばいい。
相手が一人で静かに入りたい日なら、その希望を尊重したほうがよい。
形式より目的である。
40代夫婦のお風呂事情から見えるのは「選べる関係」である
今回の調査を読み、筆者として最も重要だと感じたのは、「一緒に入る夫婦が良い夫婦」という単純な話ではない。
むしろ、一緒に入りたいときは誘え、一人で入りたいときはそう言え、その選択を互いに必要以上に否定しない関係のほうが重要ではないかと考えている。
これは夫婦関係の専門研究から導いた結論ではなく、今回の調査結果と私自身の生活管理・品質管理の視点からの考察である。
40代になると、結婚当初と生活条件が変わっている家庭も多いだろう。
帰宅時間が変わる。
子どもの生活時間が変わる。
仕事上の責任が増える。
一人で休息したい時間も変化する。
これらは今回のバスリエ調査が40代に限定して証明した事項ではない。
ただ、生活条件が変わるのであれば、昔の入浴ルールをそのまま固定する必要はないはずだ。
品質管理の現場でも、以前うまく機能していた手順だからといって、環境が変わった後まで無条件に残すことはしない。
目的に合っているかを確認し、必要なら運用を変える。
夫婦生活も似ている。
昔は毎日一緒に入っていた。
今は別々になった。
それ自体を失敗と決める必要はない。
確認すべきなのは、
「今の形を二人とも無理なく受け入れているか」
である。
二人とも問題を感じていないなら、その形でよい。
どちらかが「最近話せなくなった」「寂しい」「一人で休めない」と感じているなら、お風呂の入り方を変える前に、その感情を言葉にしたほうがいい。
ここを飛ばして形式だけ整えても、本質は変わらない。
調査では、一緒に入浴する人ほど高い夫婦円満度を自己評価する傾向が見られた。
だが、一緒に入浴することを「円満になるための処方箋」と扱うのはデータの読み過ぎである。
お風呂はあくまで、二人の生活の一部分だ。
そこで会話が生まれるなら活用すればいい。
一人の休息を確保できるなら、それも価値がある。
別々に入っても、その後に二人で話せるなら問題はない。
40代夫婦に必要なのは、若い頃の習慣を守り続けることではない。
今の二人に合う形へ更新することである。
まとめ|40代夫婦のお風呂は「一緒か別々か」だけで判断しない
バスリエ株式会社が2021年9月〜10月に全国の20〜60代の既婚男女200人を対象に実施し、11月19日に公表した調査では、現在も夫婦で一緒に入浴している人は34%、以前は一緒に入っていた人は37%だった。
ただし、この34%は40代限定の数字ではない。
一緒に入浴する人への設問では、約7割が月1〜2回以上一緒に入り、約2割がほぼ毎日。入浴中の行動では約7割が「おしゃべり」と回答している。
一方、以前は一緒に入っていたものの現在は別々という人への設問では、再び一緒に入りたいかとの問いに男女とも約7割が「いいえ」と答え、「1人でゆっくりしたい」「浴槽が狭い」などの理由が挙げられた。
また、一緒に入浴する人では夫婦円満度80点以上の自己評価が約8割、一緒に入らない人では36%という差も見られた。
しかし、これは因果関係を証明した数字ではない。
「一緒に入れば円満になる」とは言えず、「仲が良いから一緒に入っている」という逆方向の可能性も残る。
結局、40代夫婦が見るべきなのは、お風呂の形式ではない。
二人で過ごしたい日には共有でき、一人で休みたい日は休め、会話が足りなければ別の時間で補えるか。
一緒に入るなら入る。
別々なら別々でいい。
昔と形が変わったなら、今の二人に合わせて更新すればいい。
「夫婦ならこうあるべき」という採点表より、互いの希望を言葉にできることのほうが重要である。
よくある質問
40代夫婦で一緒にお風呂へ入る割合は34%ですか?
違う。バスリエ株式会社の2021年調査で34%だったのは、全国の20〜60代の既婚男女200人全体における「現在も一緒に入浴している人」の割合である。
40代だけを対象にした34%ではないため、「40代夫婦の34%」と引用するのは不正確である。
夫婦で別々にお風呂へ入ると不仲ですか?
別々に入浴しているという事実だけでは、不仲とは判断できない。
元調査では、以前は一緒に入っていた人が再び一緒に入りたいと思わない理由として「1人でゆっくりしたい」「浴槽が狭い」なども挙げられている。入浴方法だけでなく、普段の会話や互いの希望を見る必要がある。
一緒にお風呂へ入らない夫婦は会話をどう増やせばいいですか?
お風呂に限定する必要はない。
調査では、一緒に入浴する回答者の約7割が「おしゃべり」をしていた。入浴後、食後、散歩中、就寝前など、二人だけで短く話せる時間を別に確保すればよい。
本多鋭一(ほんだえいいち)
現役品質管理マネージャー兼ヘルスケアライター

