40代で「貯金なし」に相当する金融資産非保有の割合は、2025年調査で単身世帯32.1%、二人以上世帯18.8%である。ただし、これは銀行口座の残高が0円という意味ではない。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査2025年」は、2025年6月20日から7月2日に実施され、同年12月18日に結果が公表された。単身世帯2,500世帯、二人以上世帯5,000世帯を対象とするインターネットモニター調査である。J-Flec+1
40代で貯金なしの割合は何%?単身32.1%・二人以上18.8%
「40代なのに貯金がない。自分だけなのか」
そんな不安を抱えて検索したなら、最初に余計な精神論を聞かされても意味がない。まず数字を確認しよう。
J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査2025年」の年齢別データでは、40代の金融資産非保有割合は単身世帯32.1%、二人以上世帯18.8%である。
単純化すれば、40代単身世帯では約3人に1人、二人以上世帯では約5人に1人が金融資産非保有という水準だ。
同じ2025年の年齢別データで金融資産保有額を見ると、次のようになる。
40代の世帯区分 金融資産非保有 金融資産額の平均 金融資産額の中央値
単身世帯 32.1% 859万円 100万円
二人以上世帯 18.8% 1,486万円 500万円
出所:金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査2025年(単身世帯調査)」「家計の金融行動に関する世論調査2025年(二人以上世帯調査)」各種分類別データ。J-FLECは年齢別、職業別、収入別、地域別などの分類データを公開している。J-Flec
ここで間違えてはいけない。
「3人に1人もいるなら、自分も問題ない」という話ではない。
32.1%という数字が教えてくれるのは、40代で金融資産を持っていない単身世帯が極端に珍しい存在ではないという事実までだ。
あなた自身の家計が安全かどうかは、この割合だけでは判定できない。
品質管理の現場でも、数値を見るときに最初に確認するのは「高いか低いか」ではなく、そもそも何を測っている数字なのかである。
今回もそこを外してはいけない。
検索語として使われる「貯金なし」と、J-FLECの「金融資産非保有」は完全な同義語ではないからだ。
「貯金なし=口座残高0円」ではない?金融資産非保有の意味
J-FLECの「金融資産非保有」は、銀行口座に1円も残っていない状態を意味するものではない。
ここは今回の数字を読むうえで最重要ポイントの一つである。
J-FLECの調査では、金融資産について、日常生活で出し入れするお金と、運用や将来への備えとして蓄えているお金を区別している。
調査上の金融資産には、預貯金のほか、金銭信託、積立型保険商品、個人年金保険、債券、株式、投資信託、財形貯蓄などが含まれる。一方、現金や土地・住宅などの実物資産などは調査上の金融資産から除かれる。J-Flec
さらに預貯金についても、日常の支払いや口座振替に備えて置いている部分と、将来への備え・運用目的で蓄積している部分では扱いが異なる。
つまり、給料の振込口座に10万円や20万円が残っていても、それが家賃、カード代、公共料金など日常決済のためのお金で、別途「将来に備えた金融資産」を持っていなければ、金融資産非保有に分類される可能性がある。
したがって、
「40代単身者の32.1%は銀行預金がゼロ」
と読み替えるのは不正確である。
数字だけを強く見せようと思えば、「40代の3人に1人が貯金ゼロ」と煽ることはできる。
だが、それでは検索者の不安につけ込んでいるだけだ。
本記事では検索時に一般的に使われる「40代 貯金なし」という言葉をタイトルに採用しているが、統計上の正確な表現は「金融資産非保有」である。
この定義を理解して初めて、32.1%という数字を正しく扱える。
なぜ40代の貯金なし割合に40.4%と32.1%があるのか?
検索すると、「40代単身世帯の貯金なし割合は40.4%」という数字を目にすることがある。
一方、2025年の最新データは32.1%だ。
結論から言えば、主な理由は参照している調査年が違うからである。
2023年調査では、40代の金融資産非保有割合は単身世帯40.4%、二人以上世帯26.8%だった。
2025年調査では、単身世帯32.1%、二人以上世帯18.8%となっている。
調査年 40代単身世帯 40代二人以上世帯
2023年 40.4% 26.8%
2025年 32.1% 18.8%
数字上では、単身世帯は8.3ポイント、二人以上世帯は8.0ポイント低下している。
だからといって、「わずか2年で40代の貯金問題が大幅に改善した」とまで断定するのは早い。
2025年調査は、二人以上世帯5,000世帯、単身世帯2,500世帯を対象としたインターネットモニター調査である。同じ人物を2023年から2025年まで追跡して、「金融資産なしから脱出した人」を測定した調査ではない。J-Flec+1
したがって確認できるのは、各調査年の40代回答者を集計した結果として割合に差があったという事実である。
「景気が良くなったから」「新NISAが始まったから」「40代の節約意識が高まったから」など、もっともらしい理由を後付けすることは簡単だ。
しかし、それをこの数字だけから証明することはできない。
数字に物語を足しすぎるな。
統計記事で最も危険なのは、数字そのものより、書き手が勝手に作った因果関係である。
2023年と2025年の数字は比較してよいのか?
ここは評価者からも重要な指摘があったため、一次資料を改めて確認した。
J-FLECの2025年資料では、単身世帯について調査対象年齢の変更に伴い2020年から2021年のデータが不連続であることへの注意が明記されている。2023年と2025年は、いずれもその変更後の期間に位置する。J-Flec
またJ-FLECは、二人以上世帯と単身世帯について、2021年調査から調査方法が同一となったため、両者を合算した「総世帯」の参考計表も作成している。J-Flec
そのため2023年と2025年の数字を時系列上の参考として比較すること自体には意味がある。
ただし、これは先ほど述べた通り「同じ人が改善した」ことを意味しない。
時系列比較と個人の追跡調査は別物である。
この一線は崩してはいけない。
2026年1月21日の訂正で32.1%や18.8%は変わったのか?
ここも確認しておこう。
J-FLECは2026年1月21日、「家計の金融行動に関する世論調査」に使用した図表2点について誤りを訂正したと公表した。J-Flec+1
訂正資料を確認すると、2025年分で修正されたのは二人以上世帯調査の図表に掲載された「有価証券」の金額755万円を727万円へ訂正したものである。
もう1点は単身世帯調査に掲載された2022年の「金融資産が減少した理由」の割合についての訂正だった。J-Flec+1
つまり、今回の記事で中心的に扱っている40代の金融資産非保有割合32.1%・18.8%や、40代の年齢別平均・中央値は、この訂正資料で訂正対象として示された数値ではない。
これはかなり重要だ。
「訂正があった」という情報だけを書けば、読者は「32.1%も間違っていたのか」と疑う。
訂正情報を出すなら、何が訂正され、何が訂正対象ではなかったのかまで確認する。
品質管理でも同じである。
不具合報告が1件出たからといって、製品全体が不良品という話にはならない。影響範囲を切り分ける必要がある。
統計データにも、その姿勢が必要だ。
40代の平均金融資産額が高すぎる?平均と中央値の差
40代の金融資産額を見ると、単身世帯の平均859万円、二人以上世帯の平均1,486万円という数字に驚く人も多いだろう。
貯金がほとんどない状態なら、こう感じるかもしれない。
「みんなそんなに持っているのか」
違う。
平均859万円だからといって、典型的な40代単身者が859万円持っているという意味ではない。
2025年の40代単身世帯は、平均859万円に対して中央値100万円。
二人以上世帯は平均1,486万円に対して中央値500万円である。
単身世帯では平均と中央値に759万円、二人以上世帯では986万円もの差がある。
中央値とは、金融資産額を小さい順に並べたとき、中央に位置する値である。
例えば、仮に5人の金融資産が次のようだったとする。
- 0万円
- 0万円
- 100万円
- 300万円
- 3,895万円
中央値は100万円だが、平均は859万円になる。
もちろんこれはJ-FLECの実際の資産分布を再現したものではなく、平均と中央値の違いを説明するための仮定例である。
一部に非常に大きな金融資産を持つ人が存在すれば、平均値は上へ引っ張られる。
だからこそ自分の位置を考えるときには、平均だけではなく中央値も確認する価値がある。
ただし、ここからさらに進んで「40代の資産は完全に二極化している」と断定するのも正確ではない。
平均値と中央値の差が大きいことから分かるのは、金融資産額の分布に偏りやばらつきがあることがうかがえるというところまでだ。
本当の意味で「二極化」を論じるなら、金融資産額の階級別構成を確認し、低資産層と高資産層にどのような分布があるのかまで見る必要がある。
強い言葉に逃げる必要はない。
平均859万円、中央値100万円。
この差だけで、平均値一つを自分の合格ラインにする危うさは十分に伝わる。
単身32.1%と二人以上18.8%の差は何を意味する?
2025年調査では、40代単身世帯の金融資産非保有割合は、二人以上世帯より13.3ポイント高い。だが、この調査だけでその原因までは特定できない。
ここも雑な解釈が生まれやすい。
「夫婦なら共働きできるから貯まりやすい」
「独身はお金を使いすぎる」
このような説明は分かりやすい。
だが、今回の年齢別データだけでは証明できない。
二人以上世帯には、共働き夫婦もいれば片働き世帯もある。子どもがいる家庭もあれば、夫婦だけの世帯、親と同居しているケースも考えられる。
単身世帯でも年収、雇用形態、家賃、住宅所有の有無など条件は大きく違う。
今回直接言えるのは、あくまで40代という年齢区分では、単身世帯の金融資産非保有割合が13.3ポイント高かったということだ。
原因を追うのであれば、所得別や職業別、金融資産額別など別の切り口も確認する必要がある。
J-FLECは2025年調査について、年齢別だけでなく職業別、収入別、地域別などの各種分類別データや、設問間クロス集計も公開している。J-Flec
ここから得られる実用的な教訓は明確だ。
「40代」というだけで他人と比較しすぎるな。
同じ45歳でも、独身・賃貸で暮らす人と、配偶者と子どもを養いながら住宅ローンを返している人では家計構造がまったく違う。
年齢だけ合わせて平均値と競争しても、自分の家計の問題点は見えてこない。
比較するなら、まず世帯構成を合わせる。
さらに可能なら所得や負債まで確認する。
比較条件をそろえない数字は、安心材料にも危機感の材料にもなりにくいのである。
40代で貯金なしは「やばい」のか?見るべきは割合より家計の耐久力
ここからは、統計そのものではなく筆者としての考察である。
私は、「40代単身の32.1%が金融資産非保有なのだから、自分もまだ大丈夫だ」と考えるべきではないと思っている。
32.1%は「同じ分類に何人いるか」を示している。
あなたが病気、失業、収入減、家電の故障、住宅修繕など予想外の支出に耐えられるかどうかを示しているわけではない。
逆に、金融資産が中央値より少ないからといって、ただちに人生が失敗という話でもない。
住宅ローンなどの負債、毎月の生活費、収入の安定性、扶養家族、今後必要になる教育費などを無視して、金融資産だけで家計を採点することはできないからだ。
私が40代の「貯金なし」を考えるなら、平均額を追いかける前に次を確認する。
- 毎月の最低生活費はいくらか
- 今すぐ使える預貯金はいくらあるか
- 毎月の収支は黒字か赤字か
- 住宅ローンやその他の負債はいくら残っているか
- 数年以内に教育費、車、住宅など大きな支出予定があるか
- 収入が一時的に止まった場合、現在の資金でどの程度対応できるか
この棚卸しをしないまま、「平均859万円だから自分も859万円を作らなければ」と焦る必要はない。
目的が逆だ。
統計はあなたを焦らせるためのものではなく、自分の家計をどの角度から確認すべきか教えてくれる基準点として使うべきなのである。
特に危ないのが、「40代なのに資産がない」と焦り、生活に必要なお金まで値動きの大きい金融商品へ回してしまうことだ。
投資が悪いのではない。
問題は順番である。
収支も把握していない。直近の支払いに必要な現金も曖昧。それなのに資産形成だけ急ぐ。
それではアクセルを踏み込む前に、ブレーキと燃料を確認していないのと同じだ。
資産形成のスタート地点は、商品選びではなく家計の現状把握である。
ここは派手ではない。
SNS映えもしない。
だが、本当に家計を立て直したいなら、逃げてはいけない工程だ。
私は品質管理の現場で、問題が出たときにいきなり対策品へ交換することはしない。
まず現状を把握し、原因を切り分け、優先順位を決める。
40代の家計も同じだと考えている。
「自分は平均より下だ」と落ち込む前に、収入、支出、金融資産、負債を一枚に並べてみる。
そこで初めて、本当に改善すべき箇所が見える。
40代の貯金なし割合から何を読み取るべきか?
2025年のJ-FLEC調査から読み取るべきことは、私は三つだと考える。
第一に、40代で金融資産非保有は極端に珍しい状態ではない。
単身世帯32.1%、二人以上世帯18.8%という割合を見る限り、「40代で金融資産がないのは自分だけだ」という認識は事実と合わない。
第二に、珍しくないから安全とは限らない。
32.1%という割合は、あなたの家計に十分な備えがあることを保証してくれない。
第三に、平均だけで自分を評価しないことだ。
単身世帯では平均859万円に対して中央値100万円、二人以上世帯では平均1,486万円に対して中央値500万円である。
この数字を見れば、少なくとも「40代なら平均額を持っていて当然」という考え方が乱暴であることは分かる。
そして今回もう一つ重要なのが、検索結果の数字は必ず「調査年」とセットで見ることである。
40.4%と32.1%。
どちらか一方だけ見れば混乱する。
2023年か、2025年か。
単身か、二人以上か。
「貯金」なのか、調査上の「金融資産」なのか。
平均か、中央値か。
この条件をそろえれば、数字はかなり読みやすくなる。
逆に条件を無視すれば、正しい統計でも簡単に誤解できる。
数字そのものは嘘をつかなくても、数字の切り取り方は人を誤解させる。
40代で資産形成を考える人ほど、この視点を持ってほしい。
まとめ|40代で貯金なしの割合は単身32.1%
J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査2025年」では、40代の金融資産非保有割合は単身世帯32.1%、二人以上世帯18.8%である。
調査は2025年6月20日から7月2日に行われ、単身世帯2,500世帯、二人以上世帯5,000世帯を対象としたインターネットモニター調査で、結果は2025年12月18日に公表された。J-Flec+1
ただし金融資産非保有は、「銀行口座残高が完全に0円」という意味ではない。
また40代の金融資産額は、単身世帯で平均859万円・中央値100万円、二人以上世帯で平均1,486万円・中央値500万円となっており、平均だけを自分の基準にするのも適切ではない。
2023年の40.4%と2025年の32.1%が検索結果に混在しているなら、まず調査年を確認する。
そして32.1%を見て安心する必要もなければ、平均859万円を見て絶望する必要もない。
見るべきなのは、他人の数字ではなく、自分の金融資産・負債・収支・近い将来の支出である。
40代まで貯められなかった過去を何時間悔やんでも、残高は1円も増えない。
だが今日、数字を一度すべて出せば、明日からの行動は変えられる。
統計は自分を責めるための武器ではない。
現状をごまかさず、次の一手を正しく決めるための計器である。
よくある質問
40代で貯金なしの人は何%ですか?
J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査2025年」では、40代の金融資産非保有割合は単身世帯32.1%、二人以上世帯18.8%である。ただし「金融資産非保有」と銀行口座残高0円は同じ意味ではない。
40代の金融資産額は平均いくらですか?
2025年調査では、40代単身世帯が平均859万円・中央値100万円、二人以上世帯が平均1,486万円・中央値500万円である。自分の位置を見る際は平均だけでなく中央値も確認したい。
2023年の「40代単身40.4%」は間違いですか?
間違いとは限らない。40.4%は2023年調査、32.1%は2025年調査の40代単身世帯における金融資産非保有割合であり、参照している調査年が異なる。検索結果の数字を比較するときは、必ず調査年と世帯区分を確認することが重要である。
本多鋭一
現役品質管理マネージャー兼ヘルスケアライター

