NISAの個別株と投資信託に正解比率はない。分散型投資信託を土台にし、個別株は許容できる損失額から上限を逆算するのが現実的である。
2026年8月公表の分析では、新NISAで「株式は日本、投信は海外」という特徴も確認された。だが、他人の利用割合をそのまままねるのではなく、自分の金融資産全体でどこまで損失に耐えられるかを基準に配分すべきだ。
NISAの個別株と投資信託は何対何が正解?
結論から言えば、「投資信託70%・個別株30%」のような万人共通の黄金比は存在しない。
年齢、収入、家族構成、投資経験、金融資産、住宅費、教育費、今後の大きな支出によって、同じ30%でも背負うリスクはまるで違うからである。
比率を先に決めてはいけない。
私は、次の順番で考えるのが実務的だと考えている。
- ①長期投資に回せる金額を決める
- ②個別株で許容できる損失額を決める
- ③想定下落率から個別株の上限額を逆算する
まず確認すべきは、「NISAでいくら買えるか」ではない。
自分はいくらなら長期間、株式市場に置いておけるのかである。
考え方はシンプルだ。
長期投資に回せる資金=金融資産-生活防衛資金-近い将来に使う予定資金
生活費、住宅費、教育費、車の購入費、住宅修繕費、転職や独立に備える資金まで投資へ回すのは、積極投資ではない。
資金管理を放棄しているだけだ。
たとえば金融資産が800万円あり、生活防衛資金として200万円、数年以内に使う教育費などとして100万円を確保するなら、長期投資候補は500万円となる。
次に、その500万円のうち個別株へいくら振り向けるかを考える。
ここで見るべきは期待リターンではない。
「個別株でいくら失っても、家計も精神状態も崩れないか」である。
たとえば個別株で許容できる損失を50万円とし、個別株部分が50%下落する状況を想定する。
計算はこうだ。
許容損失50万円÷想定下落率50%=個別株上限100万円
長期投資資金が500万円なら、
100万円÷500万円=20%
となり、個別株比率の上限は20%と計算できる。
同じ500万円でも、100万円の損失まで許容できるなら、計算上は個別株200万円、40%まで持てる。
ただし、勘違いしてはいけない。
計算上の上限と、実際に持つべき比率は同じではない。
個別企業の決算を継続的に確認できるか。
業績悪化時に「株価が下がったから売る」のではなく、投資理由が崩れたかを判断できるか。
複数銘柄を持つなら、企業だけでなく業種まで分散できているか。
ここまで管理できて初めて、その比率には意味が生まれる。
「NISA 個別株 投資信託 割合」と検索すれば、7対3、8対2、9対1などさまざまな目安が出てくる。
しかし、その数字にはあなたの住宅費も教育費も生活費も入っていない。
他人の割合は、あなたのリスク許容度ではない。
まずここを外さないでほしい。
松井証券のiDeCoは「手数料が安い」だけで決めていいのか。
40代なら先に見ておきたいポイントがある。続き・詳細はこちらの記事で確認できる。
2026年の新NISAでは個別株と投資信託はどう買われている?
自分の割合を考えるうえで、実際のNISA利用者がどう商品を選んでいるかは参考になる。
第一ライフ資産運用経済研究所は2026年8月12日、奥田宏二氏によるレポート「新NISA、『株式は日本、投信は海外』はなぜか」を公表した。
そこで示された特徴が、個別株では国内株式、投資信託では海外資産が強く選ばれているという構造である。
金融庁のデータによると、2024年と2025年のNISA買付額は合計36.1兆円だった。
また、制度開始以来の累計買付額は2025年末時点で71兆円となり、政府が2027年末までの目標としていた56兆円を上回った。
新NISAには、
- 年間120万円の「つみたて投資枠」
- 年間240万円の「成長投資枠」
がある。
2024~2025年の買付額36.1兆円のうち、約7割にあたる24.9兆円が成長投資枠で購入されていた。
この成長投資枠の買付額を見ると、
- 投資信託等:約13.9兆円
- 上場株式:約11兆円
という内訳だった。
さらに2025年の成長投資枠で買われた上場株式5.6兆円のうち、国内株式は5.2兆円。
91.4%が国内株式だった。
これは購入金額ベースの数字である。
つまり、成長投資枠で個別株を買う資金は、圧倒的に日本企業へ向かっていたことになる。
一方、投資信託では全世界株式や米国株式など、海外資産を主な投資対象とする商品が上位を占めた。
これが「株式は日本、投信は海外」と表現された背景である。
ただし、この傾向をそのまま自分のポートフォリオへコピーする必要はない。
「日本株を半分、海外投信を半分」と機械的に配分する話ではないからだ。
重要なのは商品名ではなく、その中身が最終的にどの国、企業、業種へ投資されているかである。
国内個別株を多く持ち、さらに日本株比率の高い投資信託を買えば、別商品を持っていても日本市場への集中は強くなる。
反対に、日本株を一部保有していても、金融資産の大半が全世界株式型の投資信託なら、個別企業への集中度は低い場合もある。
「個別株か投信か」だけを見るのでは足りない。
どこへ資金が流れているのか。
そこまで確認して初めて、本当の資産配分が見えてくる。
国内株48.2%・34.0%・約79%は何を意味する?
今回のNISAデータで、特に誤解しやすい数字がある。
国内株式の48.2%、34.0%、約79%という数字だ。
これらは投資金額の割合ではない。
延べ購入銘柄数に占める国内株式の割合である。
日本証券業協会が、2025年に新NISAで金融商品を購入した7,926人を対象として2026年1月に実施したインターネット調査をもとに、奥田氏は利用状況を分析している。
成長投資枠で購入された金融商品の延べ購入銘柄数では、国内株式が48.2%だった。
一方、つみたて投資枠と成長投資枠を併用した人だけを見ると、成長投資枠で購入した商品のうち国内株式の延べ銘柄比率は34.0%だった。
さらに公表データをもとにした奥田氏の試算では、成長投資枠だけを利用した層では、国内株式が延べ購入銘柄数の約79%を占めたとされる。
ここは何度でも確認してほしい。
48.2%、34.0%、約79%は、保有資産の金額配分ではない。
仮に100万円の日本株を1銘柄、1万円の投資信託を1銘柄購入したとしよう。
延べ購入銘柄数では「1対1」である。
しかし購入金額なら「100万円対1万円」だ。
まるで意味が違う。
したがって、
「成長投資枠だけを使う人は資金の約79%を日本株に投じている」
とは言えない。
確認できるのは、購入された銘柄数の中で国内株式が多かったという事実までである。
また、「つみたて投資枠を使えば国内株への偏りが下がる」と因果関係まで断定するのも正確ではない。
データから言えるのは、併用者では成長投資枠だけを利用する人より、国内株式の延べ購入銘柄比率が低かったという観察結果である。
原因までは証明されていない。
数字は強い。
だからこそ、「何を分母にした数字なのか」を外してはいけない。
私は品質管理の仕事でも、数字を見るときは必ず母数を確認する。
不良品が10個出たとしても、100個中の10個なのか、10万個中の10個なのかで評価は真逆になる。
投資統計も同じだ。
「何%だったか」より先に、「何を100%とした何%なのか」を確認する。
これは投資情報に振り回されないための基本動作である。
年代差も大きい。
成長投資枠で購入された商品の延べ購入銘柄数に占める国内株式割合は、20代以下が24.8%だったのに対し、70代以上では74.0%だった。
これも金額比率ではない。
若い層ほど投資信託を購入商品の中に多く組み込み、高齢層ほど国内株式を多く購入する傾向が見られた、と読むべきデータである。
外国株式は、同じ日証協調査の延べ購入銘柄数ベースで全体の2%程度だった。
個別株を買う場合、日本のNISA利用者は外国企業より国内企業を圧倒的に多く選んでいる。
さらに平均購入金額を見ると、70代以上は約113万円、20代以下は約64万円だった。
こちらは金額である。
延べ銘柄数比率とは指標が違う。
一つの記事の中に、金額、割合、人数、銘柄数が混在する。
だからこそ、数字は丁寧に読む必要がある。

NISAで投資信託をコアにしやすい理由は?
長期資産形成を目的とする多忙な会社員なら、私は広く分散された投資信託をコア、個別株をサテライトとして扱う方法が管理しやすいと考えている。
最大の理由は、企業固有リスクを抑えやすいからだ。
個別株では、企業ごとの業績悪化、不祥事、競争力低下、財務悪化、経営判断の失敗などが、投資資金へ直接影響する。
100万円を1社だけに投資していれば、その100万円はその会社固有のリスクにさらされる。
一方、数百社、数千社へ投資する広域分散型の投資信託であれば、1社の急落がファンド全体へ与える影響は相対的に小さくなる。
もちろん、投資信託だから安全という話ではない。
株式型の投資信託なら、市場全体が下落したときには基準価額も大きく下がる。
元本保証もない。
ただし、特定企業1社の失敗によって資産形成全体が致命傷を負うリスクは抑えやすい。
個別株と分散型投資信託の違いを整理すると、次のようになる。
比較項目 個別株 分散型投資信託
主な投資対象 特定企業 多数の企業・資産
分散 自分で複数銘柄を選ぶ 1商品でも広く分散しやすい
分析負担 決算・財務・業界分析が必要 商品選定後の管理負担は比較的小さい
主なリスク 市場変動+企業固有リスク 主に市場全体の変動
配当・優待 企業ごとに異なる ファンド設計による
NISAで使える枠 成長投資枠 つみたて・成長投資枠
役割の例 サテライト コア
「どちらが儲かるか」と二者択一で考える必要はない。
役割を分ければよい。
市場全体の長期的な成長を取り込みたい資金は分散型投資信託へ置く。
企業を調べ、自分の判断で企業固有リスクを取る資金だけを個別株へ回す。
この役割分担を決めておかないと、上昇相場で個別株が膨らみ、気づけば老後資金の多くを数社へ依存していたという事態になりかねない。
さらに、個別株は銘柄数を増やすだけで十分に分散できるとは限らない。
銀行株を5社持っていても、金利環境や信用不安、金融政策の影響を共通して受ける。
半導体関連企業を何社も持っていても、半導体需要や設備投資サイクルが悪化すれば同時に下落する可能性がある。
見るべきなのは銘柄数だけではない。
業種、収益構造、景気感応度まで確認する必要がある。
さらに私は、個別株全体の比率だけでなく、1銘柄当たりの比率まで見るべきだと考えている。
たとえば総投資資産1,000万円のうち、ある1銘柄へ50万円投資しているなら比率は5%である。
その銘柄が50%下落しても、損失は25万円。
総投資資産への影響は2.5%だ。
一方、同じ1,000万円のうち200万円を1社へ投じていれば、その1銘柄の比率は20%になる。
50%下落すれば損失は100万円。
総投資資産を10%押し下げる。
式にすると単純である。
1銘柄の総資産への影響率=1銘柄比率×想定下落率
「個別株が全体の何%か」だけでは足りない。
その個別株の中で、1社にいくら集中しているかまで確認してほしい。
投資信託ではなぜ海外型が多く選ばれている?
奥田氏の分析では、NISAで購入される投資信託では、海外資産を主な投資対象とする商品が上位を占めていた。
日本証券業協会による主要証券会社10社の集計では、成長投資枠の投資信託について、2024年2月から2025年9月までの20カ月のうち16カ月で、上位10銘柄に国内投資型が1本も入らなかった。
2025年10月以降は毎月1本入るようになったものの、海外投資型が上位の中心である構図は変わっていない。
つみたて投資枠では、さらに傾向が明確だった。
2024年2月から2025年7月までの18カ月は、上位10銘柄の地域構成が、
国内0・内外3・海外7
で変わらなかった。
2025年8月以降は、
国内1・内外2・海外7
という構成が続いた。
「国内型の商品が少ないからではないか」と感じるかもしれない。
しかし、奥田氏のレポートが参照した金融庁資料では、2026年8月10日時点のつみたて投資枠対象商品は361本。
そのうち公募投信の株式型197本は、
- 国内:66本
- 内外:36本
- 海外:95本
だった。
国内型が存在しないわけではない。
日証協調査では、つみたて投資枠の商品を購入した理由として、「海外の成長性への期待」31.2%が最も高かった。
一方、「日本国内の成長性への期待」は16.0%だった。
成長投資枠では、中長期の株価上昇、配当、企業業績、株主優待など、企業単体へ注目した理由が上位に挙がっている。
成長投資枠で「日本国内の成長性への期待」を理由とした割合は8.3%だった。
ここから見えてくるのは、投資家が個別株と投資信託で違う判断軸を使っている可能性である。
投資信託では「米国」「全世界」といった市場や地域全体の成長を見る。
個別株では「この企業の利益」「この配当」「この事業」「この株主還元」を見る。
だから、日本経済全体に強気ではなくても、魅力を感じる日本企業の株式を買うことは矛盾しない。
私は、この違いが個別株と投資信託を併用する大きなヒントになると考えている。
投資信託には市場全体の成長を取り込む役割、個別株には自分が分析した企業へ限定的に資金を振り向ける役割を持たせる。
役割が決まっていれば、「最近日本株が上がっているから全部日本株へ」「米国株が強いから個別株を全部売る」といった場当たり的な行動を減らしやすい。
NISAのつみたて投資枠と成長投資枠はどう使い分ける?
新NISAには年間120万円のつみたて投資枠と、年間240万円の成長投資枠がある。
つみたて投資枠では、長期・積立・分散投資に適するとされた一定の投資信託等が対象となる。
一方、成長投資枠では個別株を購入できる。
ただし、成長投資枠でも対象となる投資信託を購入できる。
ここは重要だ。
「成長投資枠」という名前だからといって、「成長株専用」「個別株専用」の枠ではない。
長期資産形成を中心に考えるなら、
つみたて投資枠で分散型投資信託を積み立て、成長投資枠でも同じ方針の投資信託を追加する
という使い方もできる。
個別株を持ちたいなら、自分で決めた上限の範囲内で追加すればよい。
たとえば長期投資資金が500万円あり、損失許容度から個別株上限を20%と決めたとする。
個別株は最大100万円。
残る400万円は分散型投資信託で構成する、という設計が可能だ。
ここで順番を間違えてはいけない。
NISAの枠から資産配分を考えるのではなく、家計とリスク許容度から資産配分を決め、その後でNISAの枠へ当てはめる。
「成長投資枠が年間240万円あるから、個別株を240万円買う」
この発想は逆である。
非課税枠が大きいことと、リスクを大きく取ってよいことは別問題だ。
また、NISA口座で損失が出ても、課税口座の上場株式等の利益と損益通算はできない。
税制上有利な制度だからといって、損失管理を軽視してよいわけではない。
むしろ長期保有を前提とする資金だからこそ、特定企業への集中は慎重に管理したい。

私見:個別株の割合は「期待収益」より「失敗許容量」で決める
ここからは私見である。
個別株と投資信託の割合を考えるとき、多くの人は「どちらが上がりそうか」から考える。
私は逆だと考えている。
先に決めるべきなのは、どこまで外しても大丈夫かだ。
個別株には企業固有リスクがある。
業績悪化、不祥事、技術革新、競争環境の変化、財務悪化、経営判断の失敗。
決算書を読み込んでも、未来を完全に予測することはできない。
だからこそ、一つの投資判断を外しても資産形成全体が壊れないように設計する必要がある。
総投資資産が1,000万円あり、そのうち個別株が100万円なら、個別株比率は10%である。
個別株部分が50%下落すれば、損失は50万円。
総投資資産への影響は5%だ。
一方、個別株が400万円なら、同じ50%下落で200万円の損失になる。
総投資資産への影響は20%である。
式にするとこうなる。
個別株比率×個別株の想定下落率=総投資資産への影響率
たとえば個別株部分が50%下落すると仮定した場合、
- 個別株20%なら資産全体への影響は10%
- 個別株40%なら20%
- 個別株60%なら30%
となる。
この数字を見てほしい。
個別株60%という言葉だけなら「少し積極的な運用」に聞こえるかもしれない。
だが、その部分が半値になれば資産全体が30%減る。
1,000万円なら300万円である。
含み損300万円を見ても、投資理由を冷静に再検証できるだろうか。
怖くなり、根拠もなく売却しないと言い切れるだろうか。
ここをごまかしてはいけない。
リスク許容度はアンケートで「積極型」に丸を付ければ決まるものではない。
実際の損失額を自分の金額へ置き換えたときに耐えられるかどうかである。
企業分析が好きで、決算資料や財務情報を継続的に確認し、1銘柄当たりの上限や業種分散まで管理できる人なら、個別株を組み合わせる合理性はある。
しかし、
「高配当だから」
「株主優待が欲しいから」
「有名企業だから安心だろう」
という理由だけで個別株比率を膨らませるのは危うい。
個別株そのものが悪いのではない。
管理できない量を持つことが問題なのだ。
さらに私は、NISA口座だけを切り取って配分を考えるのも不十分だと考えている。
見るべきは金融資産全体である。
たとえば、
- 預貯金
- NISA
- 課税口座
- iDeCo
- 企業型DC
- 勤務先の持株会
まで含めて確認する。
NISAでは投資信託100%でも、勤務先の持株会へ金融資産の30%を置いていれば、家計全体では1社への集中度が高い。
勤務先株には、さらに見逃しやすい問題がある。
会社の業績が悪化したとき、株価だけでなく給与や賞与、雇用環境まで同時に悪化する可能性がある。
つまり、人的資本と金融資産が同じ会社へ集中することになる。
これはNISA口座内だけを見ていては分からないリスクだ。
反対に、NISA内では個別株が30%でも、預貯金や他口座を含めた金融資産全体で見れば個別株10%という場合もある。
だから私は、最低でも次の四つを確認したい。
NISA内の個別株比率。
金融資産全体に占める個別株比率。
1銘柄当たりの比率。
同一業種や勤務先への集中度。
ここまで見れば、「個別株と投資信託を何対何にするか」という表面的な議論から一段深いリスク管理へ進める。
iDeCoは長く付き合う制度だから、金融機関選びを「なんとなく」で済ませたくない。
松井証券も、手数料・商品ラインアップ・サポートを分けて見ると評価しやすくなる。
とくに40代は、運用できる残り期間まで含めて考えることが重要だ。
「自分に合うか」を判断する材料はこちらの記事にまとめている。
「株式は日本、投信は海外」の流れは今後どうなる?
奥田氏の2026年8月12日のレポートでは、現在の傾向が続けば、NISAを通じて海外型投資信託へ向かう資金の存在感がさらに高まる可能性が示されている。
背景の一つとして考えられるのが、投資家の年齢と投資期間の違いだ。
国内株式の延べ購入銘柄比率が高かった高齢層は、若年層に比べれば一般的に資産を取り崩す時期が近い。
一方、全世界株式や米国株式などの投資信託を積み立てる若年層には、その後数十年にわたり積み立てを続けられる人もいる。
1回の投資額が小さくても、長期間継続されれば資金流入は積み上がっていく。
その意味で、中長期的に海外型投資信託の存在感が大きくなる可能性はある。
ただし、ここから「海外投信を買えば将来必ず有利だ」と結論づけることはできない。
為替、株価水準、企業利益、金利、各国市場のバリュエーションによって投資成果は変わる。
NISAの目的も、国内株へ資金を誘導することだけではなく、家計の安定的な資産形成を後押しすることである。
投資家が考えるべきなのは、「日本を応援するか、海外を応援するか」ではない。
自分の資産を、どの市場へ、どの程度のリスクで分散させるか。
ここだ。
個人的には、日本企業への長期投資資金を増やすには、制度による誘導以上に、長期間利益を成長させられる企業が増えることの方が本質的だと考えている。
企業が利益成長、資本効率、財務健全性、株主還元を積み上げれば、投資家は結果として資金を振り向けやすくなる。
個人投資家側も、国籍だけで投資対象を決める必要はない。
個別株なら、企業の事業、決算、財務、競争力を確認する。
投資信託なら、対象指数、地域配分、コスト、値動きの大きさを確認する。
結局、見るべきはラベルではない。
中身である。
まとめ:NISAの個別株割合は損失許容量から逆算する
NISAの個別株と投資信託に、万人共通の正解比率はない。
2026年8月12日に公表された第一ライフ資産運用経済研究所の分析では、新NISAに「株式は日本、投信は海外」という特徴が確認された。
2025年に成長投資枠で購入された上場株式5.6兆円のうち、国内株式は5.2兆円で91.4%。
これは購入金額ベースである。
一方、国内株式48.2%、併用者34.0%、成長投資枠だけを利用した層の約79%という数字は、延べ購入銘柄数ベースであり、資産金額の割合ではない。
20代以下24.8%、70代以上74.0%という年代別データも同様だ。
この違いは外してはいけない。
そして、自分の個別株と投資信託の割合を決めるなら、他人の平均値をコピーする必要はない。
まず、
長期投資資金=金融資産-生活防衛資金-近い将来の予定支出
で、本当に長期運用へ回せる金額を決める。
次に個別株で許容できる損失額を決め、
個別株上限額=許容損失額÷想定下落率
で上限を逆算する。
さらに、
個別株比率×想定下落率=総投資資産への影響率
を計算してほしい。
これなら「なんとなく30%」ではなく、自分の家計とリスク許容度に根拠を持った割合を作れる。
多忙だからといって、資産配分まで他人任せにしてはいけない。
資産形成は、次に上がる商品を当て続けるゲームではない。
判断を間違えても致命傷にならない構造を先に作る作業である。
分散型投資信託を資産形成の土台に置き、個別株は企業分析と損失管理を継続できる範囲に抑える。
さらにNISAだけでなく、預貯金、課税口座、iDeCo、企業型DC、持株会まで含め、金融資産全体で集中度を確認する。
数字から逃げるな。
自分が耐えられる損失額まで計算すれば、他人の「おすすめ比率」に振り回される必要はなくなる。
よくある質問
NISAでは個別株と投資信託を何対何にすればいい?
万人共通の適正比率はない。長期投資に回せる資金を確認したうえで、個別株で許容できる損失額と想定下落率から上限を逆算する方法が現実的である。長期資産形成が目的なら、分散型投資信託をコアに置くと企業固有リスクを管理しやすい。
国内株式48.2%や約79%は投資金額の割合?
違う。奥田宏二氏の2026年8月12日の分析で示された48.2%、併用者34.0%、成長投資枠のみの層で約79%という数字は、延べ購入銘柄数に占める国内株式の割合であり、投資金額の割合ではない。
NISAの成長投資枠は個別株に使うべき?
個別株へ使う必要はない。成長投資枠では対象となる投資信託も購入できるため、つみたて投資枠と合わせて投資信託中心で運用することも可能である。制度の枠を先に埋めるのではなく、自分の資産配分方針を先に決めるべきだ。
※本記事は第一ライフ資産運用経済研究所が2026年8月12日に公表したレポート、日本証券業協会の調査、金融庁の公開資料などをもとに、NISAにおける個別株と投資信託の配分について整理したものである。特定の金融商品や投資手法を推奨するものではない。投資には元本割れの可能性があり、NISA制度や対象商品などの最新情報は金融庁および利用する金融機関の公式情報を確認してほしい。
本多鋭一
現役品質管理マネージャー兼ヘルスケアライター
iDeCoは長く付き合う制度だからこそ、金融機関選びを急ぐ必要はない。
松井証券にもメリットはあるが、誰にでも同じように向いているわけではない。
手数料はいくらか。どんな商品を選べるか。ポイントはどうなるか。
そして、40代から老後資金を積み立てる選択肢として使いやすいのか。
判断に必要なところだけを整理したので、松井証券を候補に入れているなら一度確認してほしい。
▶ 3分ほどで、松井証券iDeCoの「見るべきポイント」がつかめる。

